カジノ合法化に関する100の質問

日本で数少ないカジノ専門家、木曽崇によるオピニオンブログ

カテゴリ: ゲーミング論

何を今更感が満載ですが、せっかく「カッシーノ」論争があったのでついでに非常に根本的な部分を改めて確認しておきたいと思います。今回のエントリのテーマは「カジノとは、統合型リゾートとは」です。

このことは拙著「日本版カジノのすべて」 の中でも触れている事ですが、私たちが無意識に「カジノ」という用語を使う場合、そこには広義と狭義の二つの意味が内包されているようです。

(狭義の)カジノとは元来マシンゲームやテーブルゲームなどを提供する賭博施設のこと。そこにホテルが付随するとカジノホテル、レストランが付随するとカジノレストラン、バーが付随するカジノバー、というような表現が用いられます。そして、これらが高度に複合化しながらカジノを中心とした観光施設として開発されるものが、現在日本で合法化が提案されている統合型リゾート(IR)です。

但し、この辺りが若干論議を混乱させている所ではありますが、我々がカジノという用語を使う場合、上記出てきた様々な施設業態を「広義の」カジノとして総称する場合がある。大体、こういう言葉の定義であると理解をして頂いて構わないと思います。

なので、共産党を中心としたカジノ反対派の方々がよくいう、「推進派は統合型リゾートなどという言葉でマイナスイメージを払拭しようと必死だが、所詮はただの賭博場」という表現は正しいようで、正しくない。統合型リゾートは時に(広義の)カジノと表現されることもありますが、それが単純な賭博場というワケではありません。我が国では、単純賭博施設として開発される(狭義の)カジノではなく、それらを内包しながら複合的な観光施設として開発される統合型リゾートのみを合法のものとして認めてゆきましょうというのが我々推進派の提案であって、それ故に我々はかの法案をIR(統合型リゾート)推進法案と呼んでいるのですよ。

一方で、先の電通さんの「カジノからカッシーノへ」論も含め、我々推進派側にいる方々も混同していると思われるのは、「統合型リゾート」の中に施設の「大きさ」の概念は含まれていないという事。統合型リゾートという概念が明確に形作られたのは2005年にカジノ合法化を決定したシンガポールにおける施設開発から。このシンガポールの開発は客室数2000を超える大型開発であり、我が国でもそれが統合型リゾートの代表例として引用される事が多い為、何となく統合型リゾートとは大型の開発であるというイメージでとらえられています。

ただ、前出の通り統合型リゾートというのは「機能上の」複合化を言っているのであって、その開発が大きい、小さいという観点は全く内包していません。特に我が国の統合型リゾート検討の中では新規に開発されるものだけではなく、既存の周辺観光施設と連携をしながら複合的な機能を提供するものまでもを含めて「統合型リゾート」と位置づけてゆこうとされているところ。そういう意味では大型の開発でなくとも、十分に複合的な機能を提供する観光施設開発となり得ります。

なので、電通さんがいう「マイナスイメージを払拭する」という多少の意義はあるとしても、一方で同時に彼らが主張している「日本には都市部に開発される巨大な開発だけではなく、コンパクトな開発も必要だ」などという事を根拠とした用語の「読み替え」なんてのは全く必要がなくて、寧ろ我々推進派側が持っている統合型リゾートの間違った概念を正しく修正してゆくことが必要なんだと思っておるところ。

結局、一般に持たれている「カジノ」の悪いイメージを払拭するにしても、推進派が勘違いしている「統合型リゾート」の概念を改めるにしても、私も含めて本案件に中心的に関与している人達が、コツコツと修正の努力を積み上げてゆくしかない、というのが私自身の考えであります。

これ、業界的には結構話題になっていたのですが、ちょっとバタバタとしていた為にご紹介するタイミングを逃していました。今月12日に開示された、民主党・小見山幸治議員による質問主意書と政府によるその回答です。


【6月4日:質問】
パチンコ営業に対する規制の在り方の一部不明確な点に関する質問主意書

 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)第二条第一項第七号に規定されるぱちんこ屋営業(以下「パチンコ営業」という。)は、数十年の長きにわたって国民に娯楽と憩いの場を与え、国民の健全な余暇生活の向上において重要な役割を果たしている。また同時に、パチンコ営業が地域における経済の活性化及び就業機会の拡大をもたらしてきたことに鑑みると、パチンコ営業については、必要な規制を行いつつ、産業としての適正な振興と育成が図られなければならない。
 しかしながら、風営法がパチンコ営業を他の風俗営業と同じ枠組みの下での規制においていることと相俟って、パチンコ営業に対する規制の在り方に一部不明確な点があるとの指摘が多くなされているところである。

一 パチンコ営業を営む者(以下「営業者」という。)が客に提供した景品(賞品)を客が景品交換所で現金に換える行為については、違法ではないと考えるが政府の見解は如何か。

二 関係当局は、二〇〇三年六月に行った「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」からの質問に対する回答において、概略「現在行われている換金行為のうち、営業者と関係のない第三者が客から景品を買い取ることは、直ちに違法となるものではない」と述べているが、現在においてもこの見解に相違はないか。

三 前記二で指摘した関係当局の見解が現在においても相違はないとすれば、同見解のうち「直ちに」とは何を意味するのか。

四 前記三で述べた「直ちに」とは、営業者が客から直接に景品を買い取ること又は営業者と同一とみなし得る者が景品を買い取る場合は、違法となり、取締りの対象となることを注意的に示したものであって、客から景品を買い取る第三者が、営業者と何ら関係がなく、かつ、営業者と同一とみなし得る者でない場合、そのような換金行為は違法ではないと考えるが政府の見解は如何か。

  右質問する。

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【6月12日:政府回答】

参議院議員小見山幸治君提出パチンコ営業に対する規制の在り方の一部不明確な点に関する質問に対する答弁書

一から四までについて

 御指摘の「景品交換所」の意味するところが必ずしも明らかでないが、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者が、ぱちんこ屋の営業者がその営業に関し客に提供した賞品を買い取ることは、直ちに風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二十三条第一項第二号違反となるものではないと考えられる。もっとも、当該第三者が当該営業者と実質的に同一であると認められる場合には、同号違反となることがあると考えられる。

(出所:http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/189/meisai/m189152.htm


パチンコ賞品をパチンコ営業者以外の第三者が買い取る、いわゆる三店方式に関しては、過去の国会答弁の中でも幾度となく警察庁によって「直ちに違法となるものではない」という認識が示されてきました。それが改めて質問主意書およびその答弁書という形で示されたこととなります。

ちなみに、質問主意書に対する答弁書は関係各省庁で調整が為されたのち、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出がなされるものであり、これまで存在した国会における「警察庁見解」とは少し質が違うものです。有り体にいえば、より高次の判断によってパチンコ賞品の買取行為の適法性が示されたこととなります。



…と、ここまでが非常に表層的な分析というか感想レベルのお話になるのですが、もうちょっと突っ込んでみると面白いことがわかります。上記答弁書、確かに政府はパチンコ賞品の買取行為は「直ちに違反となるものではない」としましたが、その記述を詳細に見てみると以下のようになっています。


賞品を買い取ることは、直ちに風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二十三条第一項第二号違反となるものではない


上記のように余計な修飾を外して見てみると、この答弁書はあくまで「風営法第二十三条第一項第二号違反にはならない」という事しか言っていませんね。じゃぁ、風営法23条1項2号がどういう記述だったかというと以下のようなものです。


第二十三条
第二条第一項第七号の営業(ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。)を営む者は、前条の規定によるほか、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。[…]

二  客に提供した賞品を買い取ること。


 それに対して、大元の小見山議員による質問はどういうモノだったかというと…


パチンコ営業を営む者(以下「営業者」という。)が客に提供した景品(賞品)を客が景品交換所で現金に換える行為については、違法ではないと考えるが政府の見解は如何か


上記のように、風営法との兼ね合いのみに焦点を当てたのではなく、その他の法律も含めて「違法であるか/ないか」の見解を求めていたワケで、政府は小見山議員の質問に対して巧妙に「すれ違い答弁」をしていることが判ります。当然ながら、これは意図的に行っているものでしょう。(これを意図せずやってるのなら、この答弁書を作った官僚は日本語が大変不自由な人であるということになります)

というか、三店方式が風営法の定めに反していないなんてことは最初から判ってるわけで、むしろ小見山議員が本当は聞かなきゃいけないハズの刑法第185条に定められる賭博罪との兼ね合いに関して、政府は回答を避けたというのが実態であると言えます。この答弁書も警察庁単独で作成されたものであり、刑法を所管する法務省は関知していない事になっているハズです。

つーか、小見山議員、本気で賞品買取の「違法/合法」の政府見解を求めたいなら、この質問の投げ方じゃダメでしょ。この質問主意書の背後には、当然、当該議員の支援者の方々が居るハズですが、その支援者の方々の為にも質問主意書の再チャレンジをお勧めしたいところです。

さて、いよいよ待ちに待った競馬の「毎日杯」の季節がやってきました。毎日杯とは毎年3月末に阪神競馬場において開催される中央競馬の重賞レースです。競技スポンサーの付く、いわゆる「冠競走」と呼ばれるレースであり、本レースの提供は「毎日杯」という名称のとおり、大手全国紙のひとつである毎日新聞社となっています。

…と、私は別に競馬の専門家でもなんでもないのですが、このレースの開催を待ちに待っていたのは、毎日杯に合わせて本エントリを書こうと数か月前から計画を立てていた故です。

このように中央競馬の提供を行っている毎日新聞ではありますが、一方で同紙は我が国のカジノ合法化に対して最も激烈に批判記事を書くメディアのひとつとして知られており、過去にはその社説において以下のような記事を掲載しています。


社説:カジノの合法化 負の検証がまず先だ
http://mainichi.jp/opinion/news/20140602k0000m070116000c.html
社説:カジノ法案 解禁ありきに反対する
http://mainichi.jp/opinion/news/20141013k0000m070115000c.html


例えば、昨年6月の社説において、毎日新聞は以下のように主張しています。

経済への波及効果については、将来的に約20兆円のパチンコ業界並みの市場規模になるとの予測もある。だが、相当数の人が「負けて損をする」ことが前提の数字を当てにするのは、不健全な社会そのものではないか。


ところが、一方で冒頭でご紹介したとおり、毎日新聞は我が国における既存賭博産業の一角である競馬において、自社の名を冠したレースを提供していることはおろか、自社のオンラインコンテンツには「競馬」の専門カテゴリまで作って、寧ろそれを自身のご商売の種にすらしているワケです(参照)。

ちなみに、昨年の毎日杯の売上は、たった一本のレースで20億5,476万800円(!!)。この売上は上記の社説が言うところの「相当数の人間が負けて損する」ことを前提とするものであり、彼らの論に基づけば「不健全な社会そのもの」であるハズなのですが、毎日新聞社は1954年から60年にも亘って本レースを提供し続けてきており、必ずしもそれを不健全とは考えていないようです。

すなわち、毎日新聞社の中には「健全な賭博」と「不健全な賭博」を分ける何かしらの基準というものがあって、彼らの基準に基づけば自社が提供する競馬は健全であるが、カジノは不健全であると。。では、それらを分ける基準は何なのか?

ぜひ近々、社説においてご解説を頂きましょう。期待してお待ちしております。

PS
ちなみに毎日新聞と並んでカジノに対する強烈な反対論を社説にて展開しているのが朝日新聞ですが、こちらも朝日杯という毎年年末に行われる重賞レースの提供を行っています。ちなみに、こちらの昨年の売上実績は毎日杯を遥かに上回る125億632万1500円です。すなわち朝日新聞社さんも、賭博の「健全/不健全」を分ける何かしらの基準をお持ちであると見受けられるので、毎日新聞と同様に社説によるご解説を期待したいところです。

先もお伝えした、toto事業の拡大に関して、いよいよ本格的な検討が始まるようですよ。以下、時事.comより転載。


サッカー以外の競技へ拡大検討=スポーツ振興くじで超党派議連
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015031800939

超党派のスポーツ議員連盟と2020年東京五輪・パラリンピック大会推進議員連盟(麻生太郎会長)の合同総会が18日、国会内で開かれ、スポーツ振興くじ(サッカーくじ、愛称toto)の対象を他競技に広げる法改正の検討に入る方針を決めた。プロ野球などが念頭にある。新国立競技場の改築費に充てるのが狙いで、月内にも検討チーム(PT)の第1回会合を開く。


現在、東京オリンピック開催にあたって必要となる国立競技場の改修費用がどうにも膨らみまくっておりまして、何とかその財源を捻出しようということで「伝家の宝刀」である富くじ事業の拡大が計画されております。計画としては、ご案内の通り、現在のサッカー以外にプロ野球なども対象にするというのが前提の論議となっているわけですが、totoと野球業界に関する遺恨に関しては、以前もこのブログ内でご紹介したことがあります。


【参考】スポーツくじのプロ野球への拡大に纏わる様々な遺恨
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8725884.html


こんな時ばかりに、我々、賭博関連業界に注目が集まるというのも、正直「なんだかなぁ」と思う所がないことはないというのが本音です。ただ、是非これを機会に皆さんにはシッカリとご認識を頂きたいワケですが「賭博なんて何の付加価値も生まない」とか「依存症を蔓延させ、庶民から金を巻き上げる」とか言われまくっている我々ではありますが、そこから得られている財源は国民生活の様々な場所で利用されています。

例えば件のtotoは、収益金の三分の二がスポーツ振興の為の助成、残り三分の一が国の財源として充当されており、昨年はおよそ190億円の財源が生まれています。今回の報道は国立競技場の建て替え費用をそこから捻出する為の動きでありましたが、そもそもこれまでもずっとオリンピック選手の強化費用はtotoの収益金から拠出されてきたもの。二年ごとに我が国では夏季・冬季オリンピックでヒーロー(or ヒロイン)が誕生し、その活躍に国民が沸くワケですが、その「裏支え」になって来たのがこのような賭博関連事業なのです。

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(出所:toto公式サイト)

その他にも、例えば宝くじは全体売り上げの40.3%が収益金として発売元である都道府県及び政令指定都市へ納められそれぞれの自治体財源になっています。この財源は、財源に困窮する地方自治体にとっては貴重な独自財源であり、その金額は2013年実績で3,804億円にも及びます。

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(出所:宝くじ公式サイト)

賭博というと社会的に害悪視され、世間の批判に晒されがちですが、一方で上記のように助成金を拠出するなど「国民生活に対して貢献もしていますよ」という事。賭博のそういう一面にも皆様に少しご興味を持って頂きたいなと願いつつ、以下に各公営賭博および富くじ団体による助成実績へのリンクを纏めて記しておく次第です。


宝くじ:http://www.takarakuji-official.jp/educate/about/proceeds/index.html
サッカーくじ:http://www.toto-dream.com/support/results.html
中央競馬:http://company.jra.jp/0000/gaiyo/g_22/g_22.html
地方競馬:http://www.keiba.go.jp/nar/index.html
競艇:http://www.nippon-foundation.or.jp/what/grant_recipients/
競輪・オートレース:http://www.ringring-keirin.jp/seikabutu/index.html

以前、twitter側でこんなコメントをしたことを覚えてる。


ここ数年、パチンコ業界は「原点回帰」などというスローガンで、長く、低価格で遊べる「庶民の娯楽」としてのサービス提供を目指して業界変革の真っ只中にある。一方で正直、ただゲームをするという意味ではすでに「基本プレイ無料」のモデルのなかでスマフォゲームが、すでにその「立ち位置」を占めているワケで、そこにパチンコの入る隙間があるのだろうか?

もっと言えば、パチンコ、パチスロが現在提供しているゲーム性などは、スマフォゲー上でもすぐに再現されるようになるワケで、だとしたらゲームの開発に各種法的な制約のないスマフォゲーの方がよほど面白いものを提供できる。だとすると、パチンコ・パチスロの未来ってどこにあるの?


大体こういう趣旨のtweetであったと思う。(残念ながら、昔過ぎて己のtweetを発掘できないが)

そしたらとうとうパチンコ業者のフィールズが、いよいよ私が指摘した通りの仕様のスマフォゲームを発売して、しかもリリース一週間で登録ユーザー数50万人を突破。googleプレイの無料ゲームアプリカテゴリで堂々のダウンロードランキング一位なわけです。


フィールズ「アニモン」リリースから1週間で登録ユーザ数50万人突破!
http://blog.ariafloat.com/article/fields-animalxmonster3/

フィールズがパブリッシャーのiOS/Android向けスマホアプリ『アニマル×モンスター(アニモン)』が、リリースから1週間で早くも累計登録ユーザ数50万⼈を突破しました。 フィールズ報道:跳弾バトルRPG『アニマル×モンスター』早くも登録ユーザ数が50万⼈を突破!! ~リリース1週間で達成!スタートダッシュキャンペーンも開催中~(PDF) リリース1ヶ月で100万DLを期待していた私ですが、この調子なら達成できそうです。


私も早速ダウンロードして一通りやってみましたが、パチンコの「チャッカーを狙って玉を打ち出す」という基本のゲーム性を前提としながら、スマフォRPGのキャラクターバトルを再現した形。スマフォゲーとしてこれから先の躍進可能性がどれほどあるのかは判らないですが、普通にゲームとして楽しめるレベルにまで来ています。

…となると、ますます現在「原点回帰」なんて言いながら変革を目指しているパチンコの未来って何なんだろね?という、冒頭の命題に戻るわけですよね。

繰り返しになりますが、現在パチンコ機が提供しているゲーム性などというのは、もはやスマフォ上でも容易に再現ができます。そこにスマフォゲーム特有のガチャやアイテムドロップ、ソーシャル性などを通じた射幸要素が加われば、プレイヤーにとっては十分にゲームを遊ぶ「動機」が生まれるというのは、パチンコ業者のフィールズさんが自ら証明してしまったワケで、これから益々プレイヤーがわざわざパチンコ店に足を向ける必要がなくなってくるワケです。

一方で、これからもし我が国でもカジノが合法化され、ゲームの結果に直接「賞金」を提供できる業態が始まるとした場合、ギャンブル性での勝負は当然、カジノ側に軍配が挙がるワケでして、それに対してパチンコだけが提供できる「価値」って何なのよという話になってくると…個人的には「賞品」にしかないのかなぁ、などとおぼろげながら考えています。

スマフォゲーはガチャなどゲーム内の様々な要素で射幸心を煽ることはできても、そのゲームの結果に「賞品」を提供することは法律上できないできません(実は、法的検討としてここは非常に微妙なラインなのだが)。一方のカジノは金銭の払い出しを前提とする文字通りギャンブルであって、こちらもやっぱり賞品を提供する業ではないわけです。

現在、パチンコ業界における「賞品」の扱いは、特殊景品が殆どを占めているのであって、一般景品が非常にぞんざいに扱われています。勿論、ここには様々な法的制約もあって営業行為としてそれを前面に押し出すことが難しいという前提もあるのですが、やはりパチンコがパチンコたる所以は、この「賞品」の払い出しが法的に認められている業態である点なのであって、ここをキチッと評価せずして他の業態との差別化を図るというのは自己否定に近いんじゃないかなぁ、と。

最後にもう一度断わっておくと、私はあくまでカジノ業専門の人間としてパチンコを外から眺めているだけの人間。ただ、「原点回帰」論も含めて隣接業種側から今の業界の改革論を見ていると、どうもパチンコ業界内だけで完結した論議が多くて、正直「それって別にパチンコじゃなくっても良くないか?」的な部分が否めないんですよね。。

ということで、以上、門外漢の戯言でした。

先の投稿でご紹介した「外れ馬券は経費」判決に関して、ホリエモンこと堀江貴文氏が以下のようなコメントをしています。
いやいやいや、それは非常に短期的かつ表層的な分析であって、むしろ中長期的には今回の判決はJRA、ひいては競馬業界全体にとって全くホクホクの話ではありません。今回の判決によって、以下のような事が起こります。

分析ソフトを使う人間が儲ける=使わない一般プレイヤーが負ける
 →一般プレイヤーは早期退場+プレイヤー全体が徐々にマニア化
 →カモとなる一般プレイヤーが居なくなるのでマニア層も収益性悪化
 →マニア市場も縮小

公営競技というのはプレイヤに対する払戻率は一定なワケで、分析ソフトを使うような一部のマニアが勝ち易い(プレイしやすい)環境が出来て、そういう人達が増えるという事は、逆に一般プレイヤーが「負け易い」市場環境へと変質してゆくということです。すると、一般プレイヤーはあっという間に予算がなくなって干上がってしまいますから、競馬そのものから早期撤退をしてゆくことになる。すると、それらをいわゆる「カモ」としていたマニア層の収益性は必然的に悪化します。そして結局、マニアも撤退し始める。

また、分析ソフトを使用するようなマニア層は、オンラインベースで全国の公営競技場のレースを分析し毎回大量の取引を繰り返します(カジノ業界でいう所の資金のローリングを繰り返す)。すると、控除する側、すなわちこの場合は公の取り分が複利的にドンドン大きくなり、一方でプレイヤー側が総体として持っているギャンブル資金の総量が急速に減ってゆきます。なので、瞬間最大風速的に一瞬だけJRAの取り分は増えるかもしれませんが、その後、幾何学級数的に一気に市場が縮小してゆくこととなります。

このような「市場のマニア化→急速に市場縮小」という構図は、パチンコ業界が1994年に30兆円(粗利ベース)と言われた産業規模から、この20年で一気に18.8兆円まで(*1)市場を縮小させてきた状況と同じです。

賭博、もしくはそれに類する産業というのは、成熟してゆくプレイヤー達が楽しめるゲーム性は十分に担保しながら、一方でそのような成熟プレイヤーだけが「勝ち過ぎてしまう」環境を廃し、カジュアルなプレイヤーにも間口を広げ続けるというバランス感覚が要求されるもの。今回の「外れ馬券は経費」という最高裁の判断は、競馬業界においてそのようなバランスが一気に崩れてゆくキッカケともなり得る判決であり、実は中長期的なJRA、ひいては競馬業界全体の視点に立てば、全くもって喜ばしい状況ではないと言えましょう。

*1) 出所:レジャー白書

注目の裁判が確定する模様です。以下、朝日新聞からの転載。


外れ馬券購入費は「経費」 最高裁、確定へ
http://www.asahi.com/articles/ASH2L5PYJH2LUTIL033.html

独自の競馬予想ソフトを使って馬券を大量購入していた元会社員男性(41)の脱税事件で、外れ馬券を「経費」と認めて脱税額を大幅に減額した一、二審判決が確定する見通しとなった。最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)が3月10日に判決を言い渡すことを決めた。二審の結論を見直す際に必要な弁論を開かないため、二審判断が維持される公算が大きい。


本件は、2007~2009年の3年間に計約28億7000万円分の馬券を購入し、計約30億1000万円の配当を得、約1億4000万円の利益を獲得していた男性に対する裁判です。焦点となったのは馬券購入費用の28億7000万円の「扱い」であり、これまでの税制解釈上は馬券購入分のうち「外れた馬券」は経費としては認められず、経費として認められるのは当たり馬券の購入原資となる費用分だけでした。すなわち、この男性においては3年間の累積馬券購入分のうち約1億円程度しか「経費」として認められず、それを配当から差し引いた約29億円が課税標準額とされ、約5億7000万円を脱税したとして無申告加算税を含む約6億9000万円を追徴課税が課されていました。

一方でこの男性が3年間で出していた利益は1億4000万円であり、追徴課税をそこから差し引くと5億5千万円の赤字となるワケで(無申告加算税含む)、世の競馬ファン達は「勝負に勝ってるにも拘らず、徴税で赤字とかフザケンナ」と怒り心頭であったワケであります。

ところが、今回の判決はそのようなこれまでの解釈を覆すもの。「外れ馬券は経費」という判決が確定することによって、この男性においては3年間で獲得した利益である1億4000万円に対する追徴課税のみで難を逃れたこととなります。取り急ぎヨカッタデスね。

但し、本判決はあくまで当該男性に限った特殊な判決であるという点は重要です。本男性は競馬の予想ソフトを使って継続的かつ大量の馬券購入を繰り返しており、この馬券購入手法が裁判上は「資産の運用にあたる」と判断されたが故の「外れ馬券は経費」という判決。一般の競馬ファンが行う馬券購入に関しては、これまでと同様の税制が適用されますので、その点はご注意ください。



一方で、この報道をtwitter上(@takashikiso)でご紹介したところ、宝くじの税制との違いに関して質問が出てきました。この点に関して解説します。宝くじによって獲得した当選金に関しては、実は我が国の「宝くじ法(当せん券付証票法)」は所得税の免除を規定しています。


第十三条 当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない。


このような規定があるために、宝くじの当選金に関しては、冒頭でご紹介したような税制問題が発生しえないワケです。これだけを見ると、「宝くじだけズルい」となりがちですが、忘れてはならないのは公営競技が標準控除率が25%であるのに対して、宝くじは50%という、そもそもの控除率の違いです。即ち、宝くじは控除率が高い代わりに、配当には所得税を課さないという形でバランスが取られているともいえます。

一応、この制度的整理に関しては、「結果予想」という行為が介入する公営競技と、予想は原則的に不可能である宝くじのゲームとしての性質差が根底にあるとされています。

即ち、公営競技はそのゲームに「結果の予想」という一種の技術介入性が伴う故に、同じゲームをしても「勝てる人」「負ける人」という差異が出てくる。だとするのならば、解釈上は競馬の賭け行為を「所得」として獲得することが出来る人間が存在することになるワケで、ならば勝った人間には所得税を課し、一方でそれを所得と出来ない人間(負ける人)には税を課さないという運用が必要であるという解釈です。

一方、宝くじというのは原則、それを購入した時点で万人が確率論上では同じ「負け額」を抱えるワケで、このゲームで所得を期待できる人は居ません。だとするのならば、ゲームの結果に所得税を課する必要はなく、そこで取得されない公的取り分は、くじを購入した時点で購入者により厚く控除をかける方が納付金の取得方法として効率的である…というのが通説的な解釈であるとされています。

「配当金に所得税を課される」という一点においては、公営競技は宝くじよりも虐げられているかのように見えがちです。しかし、そこに至るまでの解釈を整理してみると、実は「負けた人は税を課されなくて良い」分だけ公営競技の方がプレイヤーにとっては優しい制度であると言えるかもしれません。
(但し、ここにチャリロトなどへの税制論が絡んでくると、またヤヤコシクなるのですが)

さて、昨年末あたりからずっと注視をしてきた案件が、いよいよ一歩前進しそうな気配を見せています。以下、New York Postからの転載。


アトランティックシティ、フリースローコンテストが賭博業界を変革する
Atlantic City betting on free-throw contest to re-invent gambling
http://nypost.com/2015/02/13/atlantic-city-betting-on-free-throw-contest-to-re-invent-gambling/

 An Atlantic City casino is about to redefine casino gambling by introducing a new style of wagering: competition based on a physical skill rather than luck. Executives at The Borgata tell The Associated Press they’ve gotten permission from New Jersey gambling regulators to host a basketball contest next month in which players shoot free throws for money.

アトランティックシティのカジノが、運ではなく、スキルを必要とする新たなスタイルのゲームを導入することで産業の変革に至っている。ボルガータカジノの経営陣によると、バスケットボールのコンテストを来月にも開催することを規制当局から許可され、フリースローで競う賭博ゲームを開催するという。


来月、米国ニュージャージ州のアトランティックシティにおいて、バスケットボールのフリースローに100万円の賞金が提供されるトーナメントゲームが開催されるとのことです。この種のトーナメントゲームは、賞金(もしくは賞品)がスポンサーから提供される限りはギャンブルという扱いはなされませんが、本大会は各プレイヤーが参加費として20ドルずつ支払い、賞金を「積み上げる」という仕様。すなわち、一般的にいう所の「賭けバスケ」ということになります。

このような参加費を前提とする賭けトーナメントというのは、当然ながらアメリカにおいても厳しく規制されており、ポーカーなどに代表される一部のゲームを、限られた州が認めるのみです。特に、今回のバスケットボールのフリースロー対決のようないわゆる「完全スキルゲーム」が賭けの対象として扱われる事はなく、カジノの扱うゲーム種として今回のように大々的に行われることは全米初、それどころか私が知る限りは世界初であるものと思われます。(勿論、違法なモノは世の中にはたくさん有るが)

上記記事によれば、州当局はバスケットボールのみならず、その他のスキルゲームにおいても同様のトーナメントゲームの開催提案を歓迎する方針とのこと。これが本格的に動き出せば、あらゆるスポーツはおろか、ダーツやビリヤードのような屋内ゲーム、はたまたチェスやコントラクトブリッジのような頭脳スポーツ(日本で言えばマージャン、将棋など)の世界も含めて、世の中のあらゆる競技の世界が大きく影響を受けることとなります。



さらに言えば、アトランティックシティがこの種のスキルゲームをトーナメントゲームとして採用したことの先には、実はもっと大きな構想が存在しています。それが、スキルゲームのオンライン賭博への採用です。以下、昨年10月にNorth Jerseyによる報道からの転載。


ニュージャージ州、カジノ産業の振興として「キャンディ・クラッシュ」を狙う
New Jersey eyes Candy Crush-style games to boost casino sales
http://www.northjersey.com/news/business/new-jersey-eyes-candy-crush-style-games-to-boost-casino-sales-1.1108958

New Jersey's gambling regulator is considering proposals for adding skill-based social games, like Candy Crush, at casinos in the state in an effort to revive the flagging industry. Social games, including King Digital Entertainment Plc's title, could be added to slot machines in casinos or to online gambling websites, which began accepting bets last year, according to Kerry Langan, spokeswoman for the Division of Gaming Enforcement.

ニュージャージ州のカジノ規制当局は、「キャンディクラッシュ」などのスキル型ソーシャルゲームのカジノでの導入を検討しており、産業の活性化につなげたい構えだ。King Digital Entertainment社の提供するようなソーシャルゲームが、カジノ内のマシンゲームはおろか、昨年、同州内で許可されたオンラインカジノ内で提供される可能性があると、ニュージャージ州規制当局のスポークスマンは語った。


キャンディ・クラッシュとは、海外で人気を博しているソーシャルゲーム・アプリで、いわゆる「落ちゲー」と呼ばれるゲームの一種です。日本でいう所の「パズル&ドラゴン」にあたる近年の大ヒットゲームアプリというと判り易いでしょうか。

ニュージャージ州では現在、州の規制当局がこの種のスキルゲームの採用を検討していることが公式に発表されており、リアルカジノ内でのマシンゲームはおろか、そこにサーバーを置いて提供されるオンラインカジノにおいても、その種のゲームが採用される可能性があるとされています。すなわち、将来的に「パズドラ」でギャンブルをして飯を食うようなプロゲーマーが米国ニュージャージ州で現れる可能性がある、ということ。

今回のバスケットボールのフリースロー・トーナメントの実施許可は、このような賭博業界における大きな変革の前哨戦として位置づけられるもの。少なくとも「スキルゲームの賭博化」というところにまでは一歩踏み出しているワケですから、後はゲームの安全性などを考慮しながら州当局が「どの範囲まで、それを認めてゆくか」という技術上の検討段階にまですでに論議は進展している状態であると言えましょう。

本件に関しては、私としても引き続き情報収集および分析を続けてゆきたいと考えているところです。

もうね、お前ら喋るのヤメロと言いたいですわ。先日、「小川敏夫・元法相のカジノ反対論はいくらなんでも酷すぎる」というエントリをご紹介しましたが、某シンポジウムに登壇した小川氏がまたワケの判らん論を展開しており、正直ゲンナリしております。以下、当該シンポジウム主催者の「ギャンブル依存症問題を考える会」による実況ツイートから。



「公営競技はスポーツ性があるから許容されるべき、でもカジノは反対」とか、大口馬主として知られる小川氏ならではのポジショントークといいますか、完全に論理破綻しております。

あのね、確かに公営競技はスポーツですが、それが一方で行われている事業の持つ賭博性を低減するものではないでしょう。これは、統合型リゾートが観光施設だからといって、そこに内包されるカジノの賭博性を否定するものではないのと一緒。両者とも、それが何であれ一方で依存症という問題が起こりうるワケで、その対策が必要なのは同じです。

という、小川氏の競馬業界のポジショントークにゲンナリしていたところで、今度は内田樹氏ですよ。以下、朝日新聞からの転載。


(インタビュー)カジノで考える民主主義 思想家・武道家、内田樹さん
http://www.asahi.com/articles/DA3S11412485.html

――依存症は青少年や地域社会、治安への悪影響と並んで反対派、慎重派が最も懸念する点です。やはりカジノはやめたほうがいい、と。

 「僕は別に賭博をやめろというような青臭いことは言いません。ただ、なぜ人は賭博に時に破滅的にまで淫するのか、その人間の本性に対する省察が伴っていなければならないと思います。賭博欲は人間の抑止しがたい本性のひとつです。法的に抑圧すれば地下に潜るだけです。[…]

――カジノ法案は、政府内に管理委員会を置いて、不正や犯罪に厳しく対処するよう求めています。推進派の議員らは、十分な依存症対策も取る方針を明確にしています。それなら賛成できますか。

賛成できません。法案は賭博を『日の当たる場所』に持ち出そうとしている。パチンコが路地裏で景品を換金するのを『欺瞞(ぎまん)だ』という人がいるかもしれませんけれど、あれはあれで必要な儀礼なんです。そうすることで、パチンコで金を稼ぐのは『日の当たる場所』でできることではなく、やむをえず限定的に許容されているのだということを利用者たちにそのつど確認しているのです。競馬の出走表を使って高校生に確率論を教える先生はいない。そういうことは『何となくはばかられる』という常識が賭博の蔓延(まんえん)を抑制している。賭博はあくまでグレーゾーンに留め置くべきものであって、白昼堂々、市民が生業としてやるものじゃない。


「賭博をやめろというような青臭いことは言わない」、「法的に抑圧すれば地下に潜るだけ」と主張しながら、一方でカジノ法案は賭博を「日の当たる場所に持ち出そうとしている」から反対とか、もはや意味不明です。こんな論理破綻したトンデモ理論を、それなりに高い社会評価を受けている文化人が何で強弁しているのかな思うワケですが、よく考えたら内田樹氏って麻雀愛好家としてすごく有名なんですよね。


麻雀に還れ(内田樹研究室)
http://blog.tatsuru.com/2006/12/30_1205.php


あぁ、ナルホド。妙にパチンコとか引き合いに出して「賭博は路地裏でやるから良いんだ」みたいな論を必死で展開してると思ったら、麻雀が念頭にあるのね、と。。

…あのさ、小川敏夫氏も内田樹氏も、別に僕はアナタ方が競馬をやることも麻雀やることも否定はしないから、ポジショントーク故のムチャクチャなカジノ反対論を振りまくのは辞めてもらえませんかね。しかも、両人ともご本人が競馬、麻雀を愛好しているという事実を伏せたままという悪質さ。お二人ともこの辺で口を噤んで、それぞれご自分の「巣」にお帰りなさい。

日刊SPA!が、パチンコ換金の法制化をめざす議員連盟の動きに関して面白い記事を書いています。


警察庁「パチンコ換金知らない」発言の裏にあった課税論議
http://nikkan-spa.jp/716664

警察庁の担当官は、「パチンコで換金が行われているなど、まったく存じあげないことでございまして」とうそぶき、対する議員たちは「建前論はやめましょう」とうんざり。記事中では、そんな堂々めぐりの様子が、朝から生々しく描写されている。


これを見て思うのは、議員ちゅうものはなんと大局観を持っていないというか、木を見て森を見ずでモノを語りがちか、ということ。警察がパチンコ換金を「まったく存じあげない」としている点に対して、議員側は「建前論」だの「うんざり」だのと散々ですが、実は本当に「ウンザリ」だと思っているのは官僚側なのですよ。

パチンコの換金行為というのは、「ゲームの結果に基づいて景品を獲得する行為」と「その商品を売却する行為」が分離された個別の経済行為であるという前提のもとで、刑法185条に定められる賭博禁止規定の適用を免れ、「直ちに違法とは言えない」と判断されています。逆にいえば、この「景品獲得」と「売却行為」を一連の制度の中で語ってしまえば、その瞬間から刑法規定に抵触しうる危険な論議となってきます。だからこそ、警察庁側は非常に慎重なコメントに終始しているわけです。

ところが、この議連が「風営法改正議連」と呼称されていることが象徴するように、議員側は今回のパチンコ換金の法制化に関して、風営法の改正のみを焦点にして論議を行っており、その上位に存在する刑法との関係を全く考慮に入れていません。風営法をどのように変えようとも、その上位法にあたる刑法がそれを禁じている限り、パチンコ換金の法制化は出来ないワケですが、全くその意識がない。官僚側からすれば「論議するならするで中途半端ではなく、刑法そのものの規定内容からシッカリと論議してくれよ」というのが本音なのです。



実は、これと同様の全くもって「木を見て森を見ていない」論議がカジノ法制論にもあります。それが、「民営賭博事業としてカジノを合法化する」という案。これはカジノ合法化と統合型リゾートの導入を推進する議員連盟・IR議連が、我が国におけるカジノ合法化制度案として推奨しているものですが、ここでみられる構図も上記のパチンコの例と全く同じといえます。

IR議連は、これまで「公営賭博」という枠内だけで認められてきた我が国の賭博事業を、民間にも開放し、完全民営カジノの合法化を主張しているわけですが、これを実現するためには当然、刑法論議を乗り越えなければなりません。ところが、IR議連側の視点は、原則的にカジノ関連法の制定のみに向いており、国民の賭博行為を禁じた刑法規定を全く考慮にいれていない。しかし、我が国で「法に基づき、公たる主体が公たる目的をもって営む場合に限って賭博が合法となり得る」とされてきたのは、我が国で賭博を禁ずる刑法185条と、その違法性を阻却する刑法35条の解釈に基づくものであり、このあたりの刑法論なくして民営賭博としてのカジノ合法化なぞ不可能なのです。

そして、もう一歩踏み込めば、カジノの世界で民営賭博の合法化が認められるのであれば、同じ刑法の条文において運用が行われている風営法下のパチンコも、賭博化して問題ないこととなる。「カジノ合法化」と「パチンコ換金の法制化」という二つの論議は、実は根底のところで深く繋がっているものであり、それぞれが同時期に国論として浮上してきたのは必然であるともいえます。

実は私自身は、このような状況になる事はIR議連が「民営カジノの合法化」を目標として掲げた時点から予見しており、「既存の賭博法制との整合性を考えなければ、必ず将来的に論議が混乱する」と彼らには進言し続けてきました。しかし、議連とその後ろに存在する一部の識者は「カジノとパチンコは別論議」などという、我が国の賭博制度体系を全く理解していない不見識極まりない主張を繰り返し、全体の整合を取らぬままカジノ都合のみで法制論を組み立ててきた。

それどころか一部識者グループに至っては、このように疑義を呈する私に対して「アイツは日本のカジノ合法化の邪魔をしようとしている」などという悪態を撒き散らして来たわけですが、そのツケがここにきて噴出しているといってよいでしょう。どちらが正しい主張をしていたかは、今となっては火を見るより明らかです。

冒頭にご紹介したSPAの記事内では、


加えて、風営法議連の動向に神経を尖らせているのは、警察とパチンコ業界だけではない。

「カジノを推進するIR議連は、今秋の国会でカジノ法案の可決を目指す大事な時期ですが、パチンコの換金合法化の話が混ざってきたらグチャグチャになるのは必至。風営法議連の動きはたまったものじゃないと大迷惑しています」


などとしています。勿論、カジノ合法化の動きに「乗ずる」事でパチンコ換金の法制化を目指している連中の存在は、我々にとっては迷惑以外のナニモノでもないわけですが、一方でその根本の原因を作ったのはカジノ推進を行う一部識者側の「制度認識の甘さ」であり、ある部分では自業自得的であるといえましょう。

いずれにせよ、粛々と進められるパチンコ換金の法制化論議が既に表面化してしまっている今に至っては、もはやこれら論争を回避することは不可能であり、早急に必要となる刑法論や関連法制の影響を整理してゆくしかありません。この点に関しては、以前のエントリにおいて「民営賭博の推進論者に答えて頂かなければならないこと」と題し、すでに纏めさせて頂いておりますので、この事態を招いた関西方面を中心とする識者グループの皆様方には、責任をもって真摯なご対応を頂きたいと思います。


民営賭博の推進論者に答えて頂かなければならないこと
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8324128.html

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