ナイトタイムエコノミー振興を推進してきた身として、期待をして見守っていた渋谷ハロウィンのムーブメント。残念ながら今年で終焉の模様です。悪い予感が始まったのが、渋谷区によるハロウィン自粛要請。博報堂出身で、これまで渋谷スクランブル交差点の積極活用の一環として寧ろ渋谷ハロウィンの推進側に居たはずの渋谷区長が、会見において「渋谷ハロウィンの自粛」を訴え始めたことです。


ハロウィーン「モラル持って」=瓶入り酒の販売自粛も-東京都渋谷区

31日のハロウィーンを前に、東京都渋谷区の長谷部健区長は23日記者会見し、仮装してJR渋谷駅周辺に集まる若者らに「モラルとマナーを持ってほしい」と要請した。現地の混雑や混乱は年々エスカレートしており、暴動などを避けるため異例の呼び掛けに踏み切った。


どうもお話によると、近年の渋谷ハロウィンがエスカレートし過ぎて危険を感じた地域商店が、逆にハロウィンの日には早々に店じまいを始めるようになりつつあり、渋谷区に苦情が入っているとのこと。これは、拙著「夜遊びの経済学」でもご紹介した神戸ルミナリエと同じナイトタイムエコノミーが地域経済の発展に繋がっていない状況で、いわゆる「ナイトタイムエコノミーの失敗」と呼ばれる状態へと突入していっているということであります。

同書内でも繰り返し述べている通り、ナイトタイムエコノミー推進というのは一度、このような「逆回転」が起こり始めると、一気に粛清モードに突入し回復不可能な状態になりがち。本来行政はそういう状態になる「前」に、地域環境をコントロールしてゆくことが必要なのですが、今回、渋谷区はそれに失敗してしまったようです。

そして、先ほどtwtter上で以下のような情報が飛び込んできて、これで渋谷ハロウィンは本当に「終わり」だな、と。


近年、渋谷ハロウィンに出動してきたDJポリスは寧ろ「良い意味」で街の混乱を収める為に投入された舞台でありましたが、来年からは全く別の意味で渋谷に警官が投入されることとなるでしょう。拙著「夜遊びの経済学」でもご紹介している川崎ハロウィンの例の様に、一方でハロウィンイベントが街の文化にまで発展した例がある中で、残念至極としか申し上げようのない状態。

ナイトタイムエコノミー推進側に居る私としては、心から痛恨の極みであります。まぁ下手すると、来年はもう無くなってしまうのかもしれませんが、10月末日までの残りの渋谷ハロウィンにご参加の皆さんは、せめて節度を守って楽しんで頂きたいと思います。