さて昨日のエントリにおいては、現在、政府から示されているカジノ法制案は「カジノに関する規制を行う機関は既存の行政機関から独立した新たな行政機関で実施することが適切」としてきた政治的意思を無視したものであると言及しました。(まだ昨日のエントリをご覧になってない方は、こちらからどうぞ→リンク

ただ、実は私自身は官僚側が発している「観光振興を所掌する国土交通大臣が主務大臣となることが望ましい。国交省内にカジノ統制機能を作るべきだ」としている主張は、大変良く理解できるのですよ。なぜならば、私自身はそもそもIR議連が長らく主張してきた内閣府にカジノ統制機能を持たせるという案に反対し、既存の公営競技の統制方式に倣って国交省、ないしはその外局の観光庁あたりが所管すべきだということを長らく主張してきた論者だからです。

ただね、残念ながら論議はもうそういう「どこが所管するのが理想か?」といったような「べき論」ではなくなっているのですよ。我が国では既に昨年末に

カジノ管理委員会は、別に法律で定めるところにより、内閣府に外局として置かれるものとし、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るため、カジノ施設関係者に対する規制を行うものとする。(法第11条)

という規定を定めるIR推進法が成立してしまっているわけです。すなわち、政治側は既に「カジノに関する規制を行う機関は既存の行政機関から独立した新たな行政機関で実施することが適切である」とする政治的意思を確定してしまっているわけで、それをいわゆる霞ヶ関文学を駆使してあからさまにひっくり返すとするのなら、それは「行政が政治を歪めてる」以外のナニモノでもないわけです。

そして何よりもオカシナ事になっているのが、今回、政府にカジノ法制案を提示したIR推進会議、特にその委員として鎮座している美原融氏(@大阪商業大学)です。そもそも、IR議連を中心として形成された「日本のカジノは既存の行政機関から独立した新たな組織が統制すべし」という論調を牽引してきたのは美原融氏その人なのであって、その原案となる制度案を作ったのも彼。そこと延々と論争してき私としては「貴方が一番、IR推進法第11条の立法趣旨は理解しているでしょ」と言いたし、私自身も彼らがどういう理念的背景をもってあの第11条を定めたかは重々承知しています。

ところが今、その彼が今度はIR推進会議の委員として、IR推進法第11条の立法趣旨を全く違えた制度案を政府に向かって提言しているわけで、これを茶番と言わずしてなんと言うか、としか言いようがありません。

私自身はIR議連の提示してきた制度案に対しては様々な不備を指摘してきた立場であり、「あの制度案」に縛られる必要は全くなく、政府は改めて必要な論議を行うべきという立場です。但し、それは「未だ法に定まっていない範囲において」の論議です。

残念ながらIR推進法は昨年末に既に成立してしまっおり、その中にIR議連が従前より示してきた幾つかの制度案が既に法定化されています。もしそこに不満があるとしても、それらの点に関しては既に政治の意思は定まっているわけですから、その立法趣旨を無視して論議を根底から引っくり返すというのは幾らなんでもオカシイ。

官僚の皆さん(特に国交省)はIR推進法の制定過程には一切関与しない(意見もしない)というスタンスをずっと維持してここまで来て、その結果、あのような推進法が成立してしまったわけで、私としては「気持ちは判るが、そこはグッと堪えて自重しろ」としか申し上げようがないわけです。