さて、NHKが以下のように報じております。



大阪のIR 自民府連 大規模施設の誘致を国や府などに要望へ
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20210719/2000048766.html

カジノを含むIR=統合型リゾート施設の大阪への誘致をめぐり、開業時の規模を当初の方針から縮小する方向で調整が進められていることについて、自民党大阪府連は経済効果が見込まれないとして、開業時から大規模な施設の誘致を目指すよう、国や府などに求めていく方針を発表しました。


現在進行系で横浜において反カジノ勢力が混乱に陥っているのにも見られるように、要は選挙となると現政権(自治体でいうのならば首長)が推し進めるカジノに反対するのは、最も判りやすく、そして票を稼げる手法であるわけで、大阪自民も同様にここ数年、IRの賛成/反対の間で揺れ動いてきたのが実態。それが、ここにきて「開業時から大規模な施設の誘致を目指すよう、国や府などに求めていく方針」と推進派に全振りする方針を決定したようです。

ただ一点だけ申し上げるのならば、大規模施設の誘致を国や府に求めるのならば、併せて現在、民間側の投資のボトルネックとなっている様々な事項の解消を訴える必要があるわけで、それなくして国や府に要望を投げたところで採算の合わない投資は民間側は行わないわけです。

例えば、私自身は2018年のIR整備法の法案審議の段階から、IR整備法が内包する事業者への投資抑制要因を様々指摘し、またそれを文書として纏め然るべき場所にバラ撒くなどもしてきました。

【参照】我が国のIR事業の制度的リスク要因とその補完手法に関する考察
https://www.sugarsync.com/pf/D2862156_08425846_989185

そのうち、いつくかの部分に関しては法令の運用の部分で修正が加えられ、「解消」までは至らないものの幾ばくかの「補完」は行われました。但し、大本の法律そのものが不備を抱えているので、運用でそれを完全解消するのもまた無理であり、その大部分の問題は未だIR整備法内に根深く残されたままになっています。

また、先日7月19日にカジノ管理委員会関係特定複合観光施設区域整備法施行規則の公布が行われましたが、ここにもまた「未来永劫」民間の採算性を妨げることとなる大きな間違いが組み込まれてしまった。(※詳細は別途どこかで解説する予定)2018年のIR整備法の制定時、パブコメを軽視したことで大変な大チョンボを起こしてしまった役所の皆さんは、またも自分達の思い込みで同じ間違いを起こしてしまった。この様なことが延々と繰り返され、それらが全て民間側が知覚する投資リスクに直結し、それが最終的な民間側が行う投資規模に反映される。

要は、民間が思い切った大きな投資をできない理由のおおよそ大部分は制度側にあるわけで、自民党大阪府連がIRに対する大規模施設の開発を改めて望むのであれば、それを許容する環境整備を府はもとより、国政与党である自民党本部に向かってより強く働き掛けてゆくことが不可欠であるわけです。それをセットとして語らないままに、ただ「大規模施設誘致を要望」だけをしているからこそ;

(大阪市政で)与党サイドにいる松井市長からこんなことを言われてしまうわけで、私としては「やるんだったらポーズだけではなく、本気で突撃して成果を挙げよ」と思いつつ、今後の自民党大阪府連の言動を生暖かく応援してゆきたいと思います。