さて、youtube側の僕のチャンネルにて、日本eスポーツ連合(通称:JeSU)が昨年秋に発表をした「JeSU参加料徴収型大会ガイドライン」に関する致命的な問題点を指摘する動画をアップしました。本動画は、本来彼らが当該ガイドラインを発表後に後続でリリースするとしていた「eスポーツ大会かんたんマニュアル(仮称)」の発表を待ってから更新しようと考えていたものなのですが、何故かその後JeSUさんから当該マニュアルがリリースされないので、仕方なく僕の動画側の更新を先行させたものであります。



詳細に関してはもっと複雑な規定がありますので動画側を参照して頂ければと思うわけですが、JeSUが示したガイドラインは、eスポーツ大会の開催にあたって各選手から徴収する参加料が「当該大会を開催するための会場使用料その他大会の設営に要する費用にのみ充当」されるものであり、「参加料は大会設営費用の一部を負担させることを目的とするもの」であるということを明確に担保させることによって、当該大会の「営利性」を否定し、風営法の適用除外をさせようとするものであります。

風営法の運用では、eスポーツとは別の分野において類似する論法で法の適用除外となる事例というものは確かに存在しており、この論法で一見、法適用を回避できるように見えるかもしれません。しかし、実はその別分野に適用されている適用除外規定にには「イベントの主催者に対して会場設置者が営業所を有償で貸す行為には会場設置者側に営利性が認められる」との規定が併せて定めてあり、この論法だけでは参加費徴収型のeスポーツ大会における風営法上の課題が完全に払しょくできているとは「いえません」。

現在のJeSUが示すガイドライン「だけ」を論拠として参加費徴収型のeスポーツ大会を行う場合

①無償の会場を使う
②風営5号の営業許可を取っている会場(要はゲームセンター)を使う
③上記2つに当てはまらない会場を使って、会場設置業者に法的リスクを丸投げする

のいずれかでしか参加費徴収型の大会を行う事ができない事となります。逆にいうのならば、今回JeSUが発表しているガイドラインでもし本当に参加費徴収型のeスポーツ大会が風営法適用除外になるとするのならば、近い未来、会場設置者とイベント主催者を(便宜上)分離し、同会場でグルグルとeスポーツ大会を短期で廻し続けて参加料を徴収するという脱法ゲームセンター(本来は風営許可が必要)が世の中に沢山誕生することになります。

一方で実は、この会場設置者とイベント主催者を便宜上分離することで「風営法の適用除外を主張する」という行為は、2010年から全国一斉に摘発が行われたダンスクラブの業界で長らく使用されて来た論法で、1980年代まで「ディスコ」と呼ばれていた業態が、その後急に「クラブ」と自称するようになった経緯でもあります。風営法は1984年の大規模改正より、規制対象として当時、若者に人気となっていたディスコを規制することとなりましたが、その後、殆どの業者は「我々はただの会場貸し業者で、イベントは別の業者がやっています」を謳う事となりました。その時に彼らは、それまでディスコと呼ばれていた業態を「クラブ」と呼び替え、「自分達は規制対象業種ではない」ことを主張し始めたわけであります。

一方でその論法が通用しなかったからこそ、2010年から風営無許可営業として全国的なクラブ摘発が相次いだわけで、私の目から見るとJeSUが主張している「このガイドラインに沿っていれば、そのeスポーツ大会『は』法適用除外になりますよ」という主張は、寧ろその主張を論拠として脱法ゲームセンターを世の中に沢山生み出しかねない、非常に危ういものにみえてしまうわけです。(そして、そういう脱法業態が出てきた時点でJeSUによるeスポーツ振興は終わり)

では本来JeSUさんは何を論拠にeスポーツ大会への風営法適用除外を主張しなければならなかったのか。その点に関しては動画側で詳しく解説を行っておりますので、ご興味のある方は私のyoutubeチャンネル側の動画も併せてご覧頂ければ幸いです。

「大人の遊び」研究所/木曽崇
https://www.youtube.com/channel/UC0UueKrYPGueHItKNUthRWw