年末ジャンボの季節になると、こういう論調で宝くじを物知り顔で語る人間がまたぞろ湧いてきて、毎回ナンダカナアと思います。以下、BLOGOSより転載。


宝くじは、不幸を呼ぶ「貧乏くじ」
https://twitter.com/takashikiso/status/1337609637076484096

宝くじを1000円買ったら、まず550円を差し引かれて、残りの450円を購入した人の中で再配分していることになります。購入した人が払った金額の半分以上は、宣伝費や地方自治体への交付金として使われます。半分以上が取られる「ほぼ確実に損をする商品」ですから「宝くじ」ではなく「貧乏くじ」なのです。
宝くじを含めたこれらのギャンブルというのは、胴元だけが儲かって、参加者は全体では損をする仕組みです。集めたお金から、コストや利益を引いて、残りを配分するのですから、新しい価値が生まれません。


ご自身が理知的なつもりで上から目線でこういう解説を発信していらっしゃるのでしょうが「んなもん今更の様にしたり顔で解説されんでも、殆どの宝くじ購買者は判って買っとるんだわ、バーカ」としか申し上げようが御座いません。というよりは、寧ろギャンブル専門家の立場として申し上げるのなら、宝くじは最も「コスパ」の良いギャンブル型レジャーの一つであります。

上記エントリの筆者が判ってないのは、ギャンブルというのは資産運用ではなく、大前提として「レジャー」であるという点。そして、レジャーというのは原則的にそこに嗜好が合う人間にとっては「価値あるもの」になりますが、合わない人間にとっては無価値にしか感じない。それはギャンブルのみならず、芸術だろうが、スポーツだろうが、伝統文化だろうが同じ。貴方が言ってるのは、音楽文化に価値を見い出せない人が「高い金払ってあんなウルサイだけの場所に行って、何の意味があるの?」って言っいながら「ライブハウスは無価値」と論じてるのと同じです。

「ギャンブルをレジャーとして楽しむ」という感覚が判らない方にその一端を垣間見て頂ける一つの手法として、私は「恋人や意中の相手と一緒にジャンボ宝くじを連番で3枚を共同購入する」ことをよくお勧めします。例えば現在発売中の年末ジャンボ宝くじは単価300円×3枚を購買すると合計900円、この900円を原資に最高賞金10億円を獲得する「可能性」を、その結果が発表されるまでの間、約1カ月間保持する事ができます。

これは私自身も若い頃に意中の相手と共に良くやっていたことですが、デートの初盤に一緒に450円ずつ出し合って宝くじ3枚を共同購買(別に買ってあげるのでも良いけど、私は共同購入派)。そうすれば「10億円当たる」という可能性をその相手と共有することができ「10億円当たったら何したい?」をネタにその後、喫茶店で最低2時間は「ああでもない、こうでもない」の与太話で楽しめます。

また、この「当たったら何したい?」ネタは、お相手の方の金銭感覚や人となりを知る手段にもなります。お相手の方が「貯金する!」と答える堅実派なのか、「パーっと使ってしまいたい」宵越しのカネは持たない派なのか、はたまた「留学したい/世界一周したい」などの夢語り系なのか。それが貴方のスタンスに合致するのか。これを知る絶好の機会にもなります。

そして何より宝くじのコスパが良いのは、この「当たったらどうする?」の状態が結果発表まで約1ヶ月も続くこと。少なくともその意中の相手と1ヶ月先の将来を約束する形となりますから、それをネタに次のデートの約束を取り付けるも良し、LINE等でのコミュニケーションのネタとして使うも良し。上記もろもろ含めた権利を900円で獲得できる。いや、何なら冒頭でご紹介したエントリを書いた方が説明している通り900円のうち約半分は確率論上手元に戻って来ますから、400円そこそこで獲得する事が可能です。きょうび映画一つ行っても1時間半で一人あたり1800円とかかかるワケで、こんなコスパの良い遊びがありますか?

繰り返しになりますが、ギャンブルというのは資産運用ではなくあくまで「レジャー」です。そして、それがレジャーである限りにおいては「勝った/負けた」の結果だけが目的となっているものではなく(勿論、勝ったらより楽しいが)、そこに至るまでの「過程」を楽しむもの。なぜならレジャーというのは、あくまで「余暇を満たすもの」なのですから。

それを理解せずして、資産運用の観点だけから今更の様に「控除率がー」とか「期待値はー」とか宣ってる方々には、あなたこそ「レジャー」というものが何たるかが判ってないですね、としか申し上げようが御座いません。