さて、以下の様な報道がイギリスから舞い込みました。以下、Casino.orgからの転載。



英国上院議会、ルートボックスをギャンブルとして早急に規制する事を求める
UK House of Lords Calls for Immediate Regulation of Loot Boxes as Gambling
https://www.casino.org/news/loot-boxes-should-be-regulated-as-gambling-house-of-lords-says/

上院による報告書は言う「もしその製品がギャンブルに見え、またそれがギャンブルの様に感じるのであれば、それはギャンブルとして規制をされるべきだ」と。
"If a product looks like gambling and feels like gambling, it should be regulated as gambling,” the Lords report reads.


上記の英国上院による勧告は、上院議会内に設置されたギャンブル産業委員会による報告書によるもの。本報告書はギャンブル産業における依存症対策に関する調査として行われたものでありますが、その中のいち分野、特に青少年へのギャンブル被害の実例として、大きくオンラインゲームのルートボックス(日本で言うところのガチャ)を扱っています。同報告書に基づくと、オンラインゲームにおけるルートボックスがギャンブル依存と類似した問題を引き起こしているとしています。また、英国児童委員会によるコメントを引用しながら「英国ギャンブリング法における「賭博」の定義を修正し、直ちにルートボックスをギャンブリング法の規制対象とすべきである」との勧告を行っています。

ここ数年、国際的な論議が続いているルートボックス規制でありますが、この法的な定義は各国様々です。我が国では当然これらは賭博にはあたらず、福袋などと同様のいわゆる「ランダム型販売方式」にあたるものであると定義づけられていますが、一方でオランダやベルギーでは、ルートボックスが賭博にあたるものとして認定し(それぞれ微妙に要件定義は違うが)、ギャンブルライセンスを保有せずにこれらを国内に提供することを禁じました。その辺りの歴史的経緯を私のYouTubeチャンネル側で纏めましたので纏めましたので、ご興味のある方はそちらをご覧下さい。

【専門解説】世界のガチャ規制と日本
https://www.youtube.com/watch?v=2kW8akJPDPM

逆にイギリスでは2017年に行われたギャンブリング委員会による判断により、ルートボックスは一旦「ギャンブルには当たらない」とされたワケですが、その後もルートボックスに対する規制論が止まず、結局、今回の上院による「だったら法律側を変えろや」という勧告に至ったワケです。このイギリスの動きと同様に、現在、世界の多くの先進国ではルートボックス規制論が高まっており、かつて社会問題となった「ガチャ問題」を経て、今は寧ろ「凪(なぎ)」の状態にある我が国日本の現状は、世界的に見ると寧ろ特異な環境にあるとも言えます。

一方で、上記YouTubeチャンネルでもご紹介したのですが、おそらく日本でもこれから改めてガチャ問題がクローズアップされるタイミングが来るキッカケとなるのではないかと私が個人的に思っているのがブロックチェーンゲームに関するゲーム各社の興味関心の高まり。仮想通貨バブルは既に終わり、決済手法としてのブロックチェーン技術の利用に関しては一時期の「高熱」ともいえる状態が覚めた我が国でありますが、一方でこの技術を寧ろより現実的かつより実務的に利用しようとする動きは高まっている状態で、この3月には一部ゲーム事業者によって組成された団体からゲームへのブロックチェーンのゲームへの利用ガイドラインなども発表されたところ。

【参照】gumi・博報堂らブロックチェーンコンテンツ協会がガイドラインを発表
https://crypto.watch.impress.co.jp/docs/news/1242573.html

ただ、私がざっとこれを見た限りは、このガイドラインも未だザックリとブロックチェーンのゲーム上での利用に関する注意を呼び掛けているのみであり、より子細な検討を行わなければ必ず刑法賭博罪との関係でトラブルが発生するものと思っておるところ。いずれにせよ、ゲームに射幸性が付加され、よりギャンブルとの境目が曖昧になってきている現状において、日本においてもこの種の論議はそう遠くはない未来に再燃する事は間違いないのかな、と考えておる所であります。

本件に関しては、私の専門の立場から引き続き様々な解説、論考をご紹介してゆきたいと思います。