新型コロナウィルスの対策を巡って、世界が真っ二つに分かれ始めています。米国トランプ大統領は3月14日、国家非常事態宣言を発令し、新型コロナウィルスの拡散防止の為に国家権限を強化し、強力な封じ込め策を取る方向に動きました。

トランプ氏、新型コロナで国家非常事態を宣言
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56792540U0A310C2000000/

一方、英国のジョンソン首相は3月12日に会見を行い、(新型コロナウィルスは)感染の発生を封じ込める段階から感染拡大を遅らせる段階に移ったと表明。会見において「科学的な助言によれば、スポーツの行事など大きなイベントを禁止することは感染拡大にあまり影響していない、学校閉鎖については利益より実害が多い」などとの認識を示しました。

集会自粛も学校閉鎖も「しない」 英国が言い切る理由は
https://www.asahi.com/articles/ASN3F469QN3FUHBI00F.html

この両者のスタンスの違いは、当然ながら新型コロナウィルスの拡散状況に対する現状認識の違いからくるものではありますが、実は同様の論議は日本でも起こり始めています。昨日、我が国の国会では今回の新型コロナを「緊急事態宣言」の対象とできる改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が成立しました。同法に基づけば、国は今回の新型コロナウィルスの蔓延にあたって緊急事態宣言を発令することが出来、同宣言の元では都道府県ごとに住民の外出自粛や、学校、老人福祉施設などの使用停止、イベントなどの開催制限、医薬品、食品などの売り渡しなどを罰則付きで要請・指示することもできるようになります。

新型コロナで改正特措法が成立 「緊急事態宣言」可能に
https://www.asahi.com/articles/ASN3F5H7JN3FUTFK00M.html

一方、大阪の吉村府知事は、昨日3月13日、これまで新型コロナウイルスの感染拡大に伴って休校してきた府立学校を新学期から通常どおり再開するとともに、イベントや施設も一定の条件で再開する方針を決めました。この府の方針に対して、吉村知事は「感染の拡大を抑える条件が分かってきて、社会経済活動を徐々に元に戻す時期に入ったと判断した」とコメントしています。

大阪府が学校や行事を再開へ
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20200313/2000026490.html

要は日本においても、新型コロナウィルスの蔓延の現状認識と、その対策方針に関して異なる二つの立場が明確にせめぎあいを始めていることが判ります。

そして、以下はナイトタイムエコノミーや観光の専門家であるという私自身の完全なるポジショントークとして読んでください。今一番、経済的に傷んでる我々業界はそれぞれの業者が本当に存亡の危機に直面している状況にあります。この業界は、文字通りの「水商売」として今日得た収入を明日の支払いに充て、その利ザヤで飯を食っている業界です。

名画「フーテンの寅さん」に「テキヤ殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の三日も降ればいい」というセリフがでてきますが(※テキヤ:露店や興行業界の人間)、こういう日銭で水商売している人達というのは、客足が途絶え売上が数日入らないとすぐに明日の支払いに行き詰ります。そして今、業界は既に2か月近くもも「ドシャ降り」が続いている状態にあるのです。

私自身、新型コロナウィルスで健康被害を受けている人に対して心を痛めている人間ではありますが、あえてこちら業界のど真ん中の研究者として申し上げたい。肺炎で亡くなるのも大変だけど、今のままだとマジで特定業界において全国的に大量の首つり者が出ます。そして肺炎で亡くなるも、首つりで亡くなるのも同じ一人の人間の命が奪われるという死亡被害であることはご認識を頂きたい。

本日午後より新型コロナで改正特措法の成立を受けて、安倍総理が新型コロナに対する新たな政府方針を発表することになっています。日本のコロナ対策が、米国トランプ側に寄るのか、英国ジョンソン側に寄るのか。まさに決断の時であると言えますが、何れの施策を取るにしても延々と続く自粛ムードの中で一部業界人たちの命は当に風前の灯の状況にある事だけは重く受け止めて頂き、新たな対策を打ち出して頂きたいと思います。こっちの業界の現状は、マジで軽く2,3回「死ねる」んじゃないかと思える状況です。以下、私のyoutubeチャンネルでは歌舞伎町の現状からコロナ被害の実態をレポートしています。合わせてご覧いただければと思います。