以下、朝日新聞からの転載。
上記調査報道の中では、日本から最多のアクセスを誇る海外カジノサイト「ベラジョンカジノ」へのアクセス数が2018年12月には約65万件だったものが、増減を繰り返しながら2020年11月には4,983万件まで急増しているという衝撃の事実が報じられています。
この様な海外カジノサイトの急成長の背景にあるのが、コロナ禍で「内籠り」する消費と、それを狙った海外事業者によるマーケティング攻勢であります。例えば上記朝日新聞の報道内で日本からのアクセス最多と報じられた「ベラジョン」ですが、当該事業者はニッポン放送の人気深夜ラジオ番組「オールナイトニッポン」のスポンサーとなり、マス広告を平然と公共の電波に流し始めています。例えば、去年の半ばあたりからスポニチで人気タレントを使いながら広告記事を頻繁に掲載している「ミスティーノ」ですが、これも海外を拠点とするオンラインカジノ業者です。
【参考】橋本マナミと松井珠理奈が花魁のコスプレ姿でオンラインカジノゲーム「ミスティーノFREE」を妖艶プレー
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/02/01/kiji/20210201s00041000267000c.html
上記紹介のベラジョンもミスティーノも「Free」と名付けた賭けられないサービスを謳っていますが、その一方で「安全安心の日本語サポート 初心者にも優しい! 」「日本最高のオンラインカジノ」などとして、ガッツリ賭けの行える日本語サイトをその横で堂々と運営しているワケで、彼らが何を目的として「無料版」などと称して広告を打っているのかというのは一目瞭然でしょう。
【参考】ベラジョンカジノ
https://www.verajohn.com/ja
【参考】ミスティーノカジノ
https://www.mystino.com/ja/
この様な状況下にあって、日本社会にオンランカジノの浸食がどれほど進んでいるのかを知ることを目的とし、弊社・国際カジノ研究所は昨年11月に行った「ギャンブル型レジャー参加実態調査」の中で、国内オンラインカジノ利用者数の推計を行いました。
各性/年代別オンラインカジノ利用率
実施:国際カジノ研究所
対象:国内男女1,000人
手法:性年代別にインターネット調査パネルから無作為抽出し、ウェイトバック集計
当該調査の結果によると、我が国居住者のオンラインカジノ経験率は「人生の中で一度でも利用したことがある」と答えた生涯経験率が2.3%の国内推計288万人、「間近1年で利用したことがある」と答えた現役ユーザーとしての経験率が1.6%の国内推計203万人であることがわかりました。ボリュームゾーンとなったのは、30代から40代の男性でこの層では8%以上の者がオンラインカジノの利用経験があることが判っています。
この様に日本で海外オンラインカジノの攻勢が止まらない最大の要因は、日本の消費者の持つオンラインカジノに対する違法性認識そのものです。2020年9月に弊社が国内男女100人に対して実施した「日本国内からのオンラインカジノ利用に対する違法性認識」に関するアンケート調査では、国内からのオンラインカジノ利用が違法であるという正しい認識を持っていた者は全体の41%。それと同じ比率がその行為を「グレーゾーン」と認識しており、18%に至ってはそれが適法であると認識している事が判っています。一般国民の大半がその行為そのものの違法性認識を持っていないワケですから、海外事業者が日本に向かってマーケティングをすればしただけ、その利用者が増えて行くのは当然のことであります。
一方で、この様な海外オンラインカジノの攻勢に対して、日本側の対策が行われているのかというと、各担当省庁がその責任を完全に「たらい回し」にしている状態であり、その対策は一切存在していません。2018年4月10日の参議院財政金融委員会において、藤末健三議員(自民)は法務省や警察庁、IR推進本部事務局など、カジノや刑法賭博罪に関係する省庁に対して一連の質疑を行い、以下の様にその質疑を締めくくっています。
要は、我が国においては現在拡大の一途にあるオンラインカジノへの対策を担当する省庁は「存在せず」、それが野放しにされているという状況。繰り返しとなりますが、この様な状況下では海外事業者が日本に向かってマーケティングをすればしただけ、その利用者が増えて行くのは当然のことであります。
我が国では2016年のIR推進法、2018年のIR整備法と、国政における大きな論議争点として我が国におけるカジノ合法化の是非が数年にわたって論議されて来ました。2018年に成立したIR整備法ではカジノの誘発する依存問題を抑制する為、週7日/月10日というカジノへの入場回数制限が課され、また本人や家族の申請によって特定人物の入場を禁止する排除プログラムなど、日本で営業されるカジノ施設に対して様々なセーフガードを課しています。
この様な様々なルールの元で目下日本ではカジノを含む統合型リゾート開発計画が進んでいるワケですが、一方で実は我が国国民はネット上、伝統メディアを問わず海外のインターネットカジノ事業者の行うプロモーションに晒され、手元のスマートフォンや家庭のPCから、海外のカジノサイトにいつでもアクセスをし遊ぶことが出来る。これら海外のカジノサイトには当然ながら日本の法律は適用されず、IR整備法が日本の国内カジノに求めている様な社会的セーフガードは充てられていません。私を含めて長年に亘ってカジノ推進側で旗を振って来た人間達が、この状況を「よし」として良いわけがありません。
一方で、我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入に反対をし続けて来た人達はどうでしょうか。立憲民主党の枝野幸男代表は、昨年9月にも記者団に対して「トップダウンの政治と草の根の声に寄り添う政治の明確な対立軸の象徴がカジノ問題だ」と、現在の与野党の対立軸の一つを「カジノ」に置くことを宣言していますが、彼らがそのカジノ批判の柱としてきたのがやはり依存対策を含む社会的セーフガードの不備であります。
「現制度では依存の拡大を防げない」は元より「最大の依存対策はカジノを作らないこと」とまで彼らは主張してきたワケですが、一方で繰り返しになりますが我が国国民は既に手元のスマートフォンや家庭のPCから海外カジノサイトにアクセスし、いつでも遊ぶことが出来る。しかも、それら海外カジノサイトは「現制度では依存の拡大を防げない」どころか、日本の法と制度に基づいた依存対策なぞはなんら付されていないものであります。我が国のカジノ合法化に反対し、そのリスクを声高に主張してきた人であればあるほど、現在の海外カジノサイト状況に対して怒りの声を挙げなければいけない。
要はこの問題はカジノ推進であろうが反対であろうが、与党であろうが野党であろうが、これまでの国内カジノに関する論議経緯に基づけばそこに意見対立というのは存在していないハズ。こうやって私が原稿を書いている間にも、海外のインターネットカジノ事業者はコロナ禍に乗じてネット上は元よりマスメディアにも既に侵食し、顧客拡大を図り、日本国民から売り上げをあげている。そして、現状放置をする限り、その状況はますます拡大して行くわけであります。そろそろ私達は、この問題に対して重い腰を挙げるべきタイミングなのではないでしょうか?
この他、本記事内でご紹介した弊社によるインターネットカジノに関する各種調査は、弊社YouTubeチャンネルにて公開しています。詳細にご興味のある方は以下のリンク先からどうぞ。
https://www.youtube.com/channel/UC0UueKrYPGueHItKNUthRWw
海外ギャンブルサイト、日本の「客」急増 捕まらない?
https://www.asahi.com/articles/ASP265R1KP1GUUPI002.html
オンラインカジノなど海外を拠点とするネットギャンブルサイトへの日本国内からのアクセスが増えている。参加への登録は手軽で、日本語で参加を促すサイトもある。日本では賭博が禁じられており、海外のサイトであっても賭けていれば違法になりうるが、証拠が集めにくく摘発のハードルは高いという。
上記調査報道の中では、日本から最多のアクセスを誇る海外カジノサイト「ベラジョンカジノ」へのアクセス数が2018年12月には約65万件だったものが、増減を繰り返しながら2020年11月には4,983万件まで急増しているという衝撃の事実が報じられています。
この様な海外カジノサイトの急成長の背景にあるのが、コロナ禍で「内籠り」する消費と、それを狙った海外事業者によるマーケティング攻勢であります。例えば上記朝日新聞の報道内で日本からのアクセス最多と報じられた「ベラジョン」ですが、当該事業者はニッポン放送の人気深夜ラジオ番組「オールナイトニッポン」のスポンサーとなり、マス広告を平然と公共の電波に流し始めています。例えば、去年の半ばあたりからスポニチで人気タレントを使いながら広告記事を頻繁に掲載している「ミスティーノ」ですが、これも海外を拠点とするオンラインカジノ業者です。
【参考】橋本マナミと松井珠理奈が花魁のコスプレ姿でオンラインカジノゲーム「ミスティーノFREE」を妖艶プレー
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/02/01/kiji/20210201s00041000267000c.html
上記紹介のベラジョンもミスティーノも「Free」と名付けた賭けられないサービスを謳っていますが、その一方で「安全安心の日本語サポート 初心者にも優しい! 」「日本最高のオンラインカジノ」などとして、ガッツリ賭けの行える日本語サイトをその横で堂々と運営しているワケで、彼らが何を目的として「無料版」などと称して広告を打っているのかというのは一目瞭然でしょう。
【参考】ベラジョンカジノ
https://www.verajohn.com/ja
【参考】ミスティーノカジノ
https://www.mystino.com/ja/
【追記 2021/02/09 13:43】上記ご紹介のネットカジノのプロモーション以外にも、私が更に愕然としたのは長らく海外カジノ情報サイトとして日本のカジノファンを集めて来た「リゾカジ」というサイトが、ネットカジノのPRを始めた事。当該サイトの運営元は大阪市のIR推進会議委員も務めた大阪IR誘致の筆頭格の人物が代表を務めているハズですが、一体どういう解釈と経緯で、このプロモーションを良しとして始めたのか。私には皆目見当が付きません。
この様な状況下にあって、日本社会にオンランカジノの浸食がどれほど進んでいるのかを知ることを目的とし、弊社・国際カジノ研究所は昨年11月に行った「ギャンブル型レジャー参加実態調査」の中で、国内オンラインカジノ利用者数の推計を行いました。
各性/年代別オンラインカジノ利用率
実施:国際カジノ研究所
対象:国内男女1,000人
手法:性年代別にインターネット調査パネルから無作為抽出し、ウェイトバック集計
当該調査の結果によると、我が国居住者のオンラインカジノ経験率は「人生の中で一度でも利用したことがある」と答えた生涯経験率が2.3%の国内推計288万人、「間近1年で利用したことがある」と答えた現役ユーザーとしての経験率が1.6%の国内推計203万人であることがわかりました。ボリュームゾーンとなったのは、30代から40代の男性でこの層では8%以上の者がオンラインカジノの利用経験があることが判っています。
この様に日本で海外オンラインカジノの攻勢が止まらない最大の要因は、日本の消費者の持つオンラインカジノに対する違法性認識そのものです。2020年9月に弊社が国内男女100人に対して実施した「日本国内からのオンラインカジノ利用に対する違法性認識」に関するアンケート調査では、国内からのオンラインカジノ利用が違法であるという正しい認識を持っていた者は全体の41%。それと同じ比率がその行為を「グレーゾーン」と認識しており、18%に至ってはそれが適法であると認識している事が判っています。一般国民の大半がその行為そのものの違法性認識を持っていないワケですから、海外事業者が日本に向かってマーケティングをすればしただけ、その利用者が増えて行くのは当然のことであります。
実施:国際カジノ研究所
対象:国内男女100人
手法:性年代別を実際の日本社会の人口構成比に合わせてインターネット調査パネルから無作為抽出
一方で、この様な海外オンラインカジノの攻勢に対して、日本側の対策が行われているのかというと、各担当省庁がその責任を完全に「たらい回し」にしている状態であり、その対策は一切存在していません。2018年4月10日の参議院財政金融委員会において、藤末健三議員(自民)は法務省や警察庁、IR推進本部事務局など、カジノや刑法賭博罪に関係する省庁に対して一連の質疑を行い、以下の様にその質疑を締めくくっています。
藤末健三(自民党参議):IR法ができて、日本で物理的なカジノができますよと。恐らく多くの方々がルールを理解し始めると思うんですよ。そして、ますますオンラインの方に流れていくと。そのときに全く規制がないという状況、本当に。誰が規制するのかといったら、ちなみにIR本部がやればいいんじゃないかと思われる方おられるかもしれませんけど、実は法的にIR本部は物理的なカジノしかできないようになっているんですよ。じゃ、誰がオンラインの方のをやるんですかといったら、警察庁はやりません、法務省はやりませんって、じゃ、誰がやるのという話になっているという状況でございますので、これを申し上げまして質問を終わらせてもらいますが、次回はきちんとペーパーも出して御質問申し上げますので、是非お答えください。両役所、お願いします。
(※下線は筆者)
要は、我が国においては現在拡大の一途にあるオンラインカジノへの対策を担当する省庁は「存在せず」、それが野放しにされているという状況。繰り返しとなりますが、この様な状況下では海外事業者が日本に向かってマーケティングをすればしただけ、その利用者が増えて行くのは当然のことであります。
我が国では2016年のIR推進法、2018年のIR整備法と、国政における大きな論議争点として我が国におけるカジノ合法化の是非が数年にわたって論議されて来ました。2018年に成立したIR整備法ではカジノの誘発する依存問題を抑制する為、週7日/月10日というカジノへの入場回数制限が課され、また本人や家族の申請によって特定人物の入場を禁止する排除プログラムなど、日本で営業されるカジノ施設に対して様々なセーフガードを課しています。
この様な様々なルールの元で目下日本ではカジノを含む統合型リゾート開発計画が進んでいるワケですが、一方で実は我が国国民はネット上、伝統メディアを問わず海外のインターネットカジノ事業者の行うプロモーションに晒され、手元のスマートフォンや家庭のPCから、海外のカジノサイトにいつでもアクセスをし遊ぶことが出来る。これら海外のカジノサイトには当然ながら日本の法律は適用されず、IR整備法が日本の国内カジノに求めている様な社会的セーフガードは充てられていません。私を含めて長年に亘ってカジノ推進側で旗を振って来た人間達が、この状況を「よし」として良いわけがありません。
一方で、我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入に反対をし続けて来た人達はどうでしょうか。立憲民主党の枝野幸男代表は、昨年9月にも記者団に対して「トップダウンの政治と草の根の声に寄り添う政治の明確な対立軸の象徴がカジノ問題だ」と、現在の与野党の対立軸の一つを「カジノ」に置くことを宣言していますが、彼らがそのカジノ批判の柱としてきたのがやはり依存対策を含む社会的セーフガードの不備であります。
「現制度では依存の拡大を防げない」は元より「最大の依存対策はカジノを作らないこと」とまで彼らは主張してきたワケですが、一方で繰り返しになりますが我が国国民は既に手元のスマートフォンや家庭のPCから海外カジノサイトにアクセスし、いつでも遊ぶことが出来る。しかも、それら海外カジノサイトは「現制度では依存の拡大を防げない」どころか、日本の法と制度に基づいた依存対策なぞはなんら付されていないものであります。我が国のカジノ合法化に反対し、そのリスクを声高に主張してきた人であればあるほど、現在の海外カジノサイト状況に対して怒りの声を挙げなければいけない。
要はこの問題はカジノ推進であろうが反対であろうが、与党であろうが野党であろうが、これまでの国内カジノに関する論議経緯に基づけばそこに意見対立というのは存在していないハズ。こうやって私が原稿を書いている間にも、海外のインターネットカジノ事業者はコロナ禍に乗じてネット上は元よりマスメディアにも既に侵食し、顧客拡大を図り、日本国民から売り上げをあげている。そして、現状放置をする限り、その状況はますます拡大して行くわけであります。そろそろ私達は、この問題に対して重い腰を挙げるべきタイミングなのではないでしょうか?
この他、本記事内でご紹介した弊社によるインターネットカジノに関する各種調査は、弊社YouTubeチャンネルにて公開しています。詳細にご興味のある方は以下のリンク先からどうぞ。
https://www.youtube.com/channel/UC0UueKrYPGueHItKNUthRWw