カジノ合法化に関する100の質問

日本で数少ないカジノ専門家、木曽崇によるオピニオンブログ

日本のカジノ業界にとっては衝撃的なニュースが駆け巡っております。以下時事ドットコムからの転載。


小此木氏が横浜市長選に出馬調整 現職閣僚、IR反対へ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021062000004&g=pol

自民党の小此木八郎国家公安委員長(55)=衆院神奈川3区=が、任期満了に伴う横浜市長選(8月8日告示、同22日投開票)に出馬する方向で調整に入った。同党関係者が19日、明らかにした。市長選で争点となる、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の是非については反対する考えを示すという。


自民党の神奈川県連会長も務める現政権の現役閣僚(国会公安委員長)が、大臣職も議員職もなげうって横浜市長選の候補者に出馬というのは、ちょっと半端な覚悟ではありません。そして、その覚悟の現れとでもいうべきなのでしょうが「市長選で争点となるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の是非については反対する考え」と。この展開は流石に私も予想しておらず、晴天の霹靂以外のナニモノでもありません。

そして、何よりも最も混乱するであろう主体が、横浜の統合型リゾート構想にコミットしてきた方々。現在の林市政の元で横浜市は、すでに横浜での統合型リゾート開発候補企業を2業者にまで絞っており;

ゲンティン(マレーシア)+セガサミー、綜合警備保障、鹿島建設、竹中工務店、大林組
メルコ(マカオ)+大成建設

が入札参加企業として、市から指定を受けたばかりであります。そして、これら横浜IR関係者とおそらく同じレベルで混乱している事は予想に難くない方々が、「横浜カジノ反対」の声をリードしてきた各野党系候補と市民団体()の方々。

こちらはこちらで、立憲民主党の出してきた候補者に対して、市民団体側が「賛同できない」などと内輪揉めの真っ最中であったわけですが、長年横浜市長選の争点として温めてきた「カジノ反対」を与党系の候補が挙げてしまうとなると、もはや争点が争点として成り立たない状況。野党系候補にとっては選挙戦略の根本の部分から瓦解をしかねない状況と言えるでしょう。


<横浜市長選>IR反対の市民団体「賛同できない」 横浜市立大・山中教授の統一候補に反対
https://www.tokyo-np.co.jp/article/111214

8月8日告示、22日投開票の横浜市長選を巡り、市が進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致反対運動で立憲民主党と連携した市民団体は、同党が野党勢力の統一候補として擁立に向けて調整している横浜市立大教授の山中竹春氏(48)について「統一候補として賛同・支持できない」として再検討を要望した。


変な話、与党系も野党系もそろって「カジノ反対」で候補者乱立させるとなると、賛成掲げてちょっとマトモな人が立ったらワンチャンあるんじゃないか?などとも思い始めてしまうワケですが、横浜市長選は目が離せない展開となってきました。

さて、横浜の統合型リゾート開発権の入札指定企業が確定しました。以下、NHKからの転載。


横浜 カジノ含むIR施設 参入事業者公募で2グループが審査通過
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210531/k10013061081000.html

横浜市が誘致を目指すカジノを含むIR=統合型リゾート施設について、市が参入を希望する事業者の公募を行った結果、海外のカジノ事業者を中心とする2つのグループが資格審査を通過したことが分かりました。

▽シンガポールに拠点を置く「ゲンティン・シンガポール」と、ゲームやパチンコの大手メーカーの「セガサミーホールディングス」、それに鹿島建設の3社で作るグループと、
▽中国のマカオを中心に事業を展開している「メルコリゾーツ&エンターテインメント」と大成建設で作るグループです。


ということで、シンガポールを拠点とする(親会社はマレーシア企業ですが)ゲンティン社と、マカオを拠点とするメルコ社を中心とする2つのコンソーシアムが横浜では争うことになったということで、大阪の様なOne by Oneの行政交渉になることを避けることができたようです。但し、横浜は8月に横浜市長選を抱えている状況で、現在横浜市内ではカジノ導入反対派の候補を担ごうと野党系が盛り上がっている状況である一方で、現職林文子市長は御年75歳のご高齢で流石に再選を目指すという事はないのではないかとも言われています。一方で、林氏の後継となる確たる保守系の候補が見当たらないのも事実で、横浜市長選はもとより、おそらくその主たる政策論点の一つとして掲げられるであろう横浜IR構想の先行きは、未だ不透明なままであります。

とはいえ今回の横浜での候補企業が確定したことで、おおよそ全国のIR誘致地域における競争の構図というのが確定したとも言える状況。以下、全国構図のまとめ。

横浜市
 ゲンティン(シンガポール/マレーシア)
 メルコ(マカオ/中国)
和歌山県
 クレアベスト(カナダ)
大阪府/市
 MGM・オリックス(アメリカ&日本)
長崎県
 オシドリ(香港/中国)
 カジノオーストリア(オーストリア)
 二期・チャウフー(日本&台湾)

この種の入札では単独入札となった時点で、そこに競争原理が働かなくなり基本的に「入札」としては成り立たなくなるものなので、第一ラウンドとしては和歌山と大阪が少し出遅れ、横浜と長崎が先行したという言い方もできるかもしれませんが、この先どうなるでしょうか。実は上記の他にも、まだIR導入への態度を明確化していない主体としては愛知・東京あたりがありますが、流石にそろそろ時間切れの感がなくもありません。

各自治体はそれぞれのパートナー企業を秋口くらいまでに選定し、その後、来年の4月末が締め切りとなる国への指定申請に向かって準備を始めることとなります。

さて、JTBから「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」なる謎企画が発表され、日本中に爆笑の渦を呼んでいます。以下、公式youtubeチャンネルより。



2003年にリリースされ一斉を風靡した、圧倒的な「セカンドライフ」感。これが2021年に観光業界の巨人ともいえるJTBから威風堂々とリリースされた最新事業であるという点で、失笑を禁じえません。2000年代後半から起こったOTA(オンライン旅行代理店:Online Travel Agency)の潮流に乗り遅れた、「古くて大きい」だけが取り柄の「恐竜」企業JTBが、コロナ禍で縮小する観光産業で何とか生き残ろうと、ワケも分からず「観光DX」の旗を振るとこういう企画が出来上がるんだなあ、と心から感銘を受けた次第であります。

そもそも日本の観光業界におけるバーチャル活用というのは、スタート地点から間違っている部分が非常に大きいのです。例えば上記のJTBによる「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」ではプレスリリース内で以下のように謳っています。



アジア地域の125万人の会員からスタート!「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」事業を開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000727.000031978.html

XR技術(※1)を駆使した仮想空間上にバーチャルな日本をつくりあげ、進化し続ける街や施設に世界中の人々が集い、観光やショッピング、様々なコンテンツを楽しみながら交流を深めることができる 「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」事業を開始します。このプラットフォームを通じて、仮想空間上の日本を巡る交流・商流・情報流を生み出し、人流が制限されるなかでも地域との持続的な関係性を維持するとともに、コロナ後の新しいリアルな人流を喚起し、観光産業の回復と地域活性化を図ってまいります。


圧倒的な勘違いとしか言い様がない訳ですが、もし「バーチャル・ジャパン」がこのプラットフォームを更新し続け、そこで「観光やショッピング、様々なコンテンツを楽しみながら交流を深める」機能を拡充させる続けるとするのならば、それは観光の「代替」であって、観光の推進になるものではありません。バーチャル渋谷でリアルに遜色ないショッピングが出来るのならばリアル渋谷を訪れる必要はないですし、バーチャル東京ビッグサイトでリアルに遜色ない商談ができるのならばわざわざリアルの東京ビッグサイトで開催される展示会を訪れる人は居ないのです。

XR技術を担う側の企業や技術者というのは、XR技術によって現実を「代替する」もしくは、もっといえばそれを「超える」ことを目標に日進月歩の技術競争を行っています。例えば、日本には寺社仏閣を主要観光資源とする観光地が沢山ありますが、そういう観光資源は立入禁止区域ばかりで予め定められた順路を巡るだけの周遊観光となりがちですが、それをバーチャル空間上で再現すれば自由にどの様な視点からでも各種史跡を楽しめますし、何ならその史跡の建造当時の時代にさかのぼり、当時の人達の生活を再現した姿を体験することもできる。なんなら、バーチャル空間上に再現された日本のお城を舞台に、プレイヤー参加型の攻城戦ゲームを提供することだって将来的にはすぐにできるようになる。

まあ、上記の動画で拝見する限り、少なくともJTBさんがご提供する「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」レベルでは幸いにも(不幸にも?)現実の代替とはならなそうですが、少なくともその分野で先端にいる事業者は既にそういうレベルのものを提供し始めているわけで、繰り返しになりますが彼らは現実を「代替する」もしくは、もっといえばそれを「超える」技術を日々争っているわけです。

対して、日本の観光業界はどうでしょう。「我が国は豊かな観光資源に恵まれー」というのは日本の観光業界を語る時の枕詞のように繰り返し使われるフレーズではありますが、一方で我が国は未だ「来て観て廻って」の周遊型観光資源が主力であり、一方で長らく過大視されてきた体験/滞在型観光は未だ定着していません。そんな日本の観光業界で「XR技術をー」というお話が語られるわけですが、「観る」の分野はXR技術が最も得意な分野であり、その技術的進歩によってあっという間に追いつかれる。しかも、現実では実現不可能な様々な時間/空間的な制約を容易に乗り越える形で。

今のままの日本の「来て観て廻って」型の観光スタイルは早晩XR技術に取って代わられるのが目に見えているわけで、それをテレビやネットを使って単純な観光番組を制作する様な感覚で「観光アピールになる」などと宣うのは、ハッキリ行ってナンセンス以外の何物でもないようにしか見えないわけです。今の日本に必要なことは、バーチャルの世界に取って代わられない体験型・滞在型観光へと日本の観光資源を切り替えてゆくことであり、それなくば寧ろ日本の観光地は徐々に衰退してゆくしかない。そういう危機感を持って技術の発展とその導入を語ってゆくことが必要だと思うのです。

「ミニGoToトラベル」と呼称すべきでしょうか、本日4月1日から5月31日までの2か月間、3,000億円の予算規模で実施される「地域観光事業支援」がスタート致します。以下、観光庁発表資料より。

スクリーンショット 2021-04-01 091124

本事業は新型コロナウィルスの感染状況が「ステージ2」相当以下の地域において各都道府県の判断によって導入が決定される観光支出の補助事業です。同一都道府県内での旅行消費に対して、

  • 旅行代金の最大50%、
  • 上限1人1泊あたり最大5,000円まで

の補助が支給されます。また、これも各都道府県の判断となりますが、旅行クーポンなど旅行消費の増進策を合わせて行う場合には、

  • 1人1泊あたり最大2,000円

がそこに追加されるという大盤振る舞い。ちなみに、日帰り旅行も対象となっており、その場合には1人1回あたり最大5,000円の支給となります。

上記施策は順次各都道府県の計画に基づいて実施が始まるわけですが、要は昨年実施されたGoToトラベルが関東や関西などの大都市圏からその他地域への長距離かつ大量の旅客の移送を前提とした観光補助事業であったのに対し、今回の地域観光事業支援は各都道府県単位で短距離かつ小規模での旅客を域内でグルグルと回すことによって、コロナ禍にあえぐ地域の観光産業を底支えしてゆこうという施策となります。即ち、観光業界業界用語でいえば「マイクロツーリズム振興」であります。

このマイクロツーリズム振興にまつわる観光庁の失策に関して、私自身もこれまで幾度となく様々なメディアにおいて言及してきました。以下、昨年7月のGoToトラベル開始直前に私が書いたエントリから。



この国の観光政策には絶望しかないんだな、という話
http://www.takashikiso.com/archives/10266631.html

近距離圏&小グループ観光に需要の軸足を移しましょうという話をすると、「俺達を一体どうしてくれんだ」と息巻く業者群が旅行代理業や公共交通業あたりにわんさか湧いてくるわけです。私はこういう業者群を、観光地側で営業を営む業者ではなく、そこに向かって旅客を「運ぶ」ことを生業としている業者群として「観光ロジスティクス」業者と呼んでいるワケですが、我が国の観光業界では伝統的にこの種のロジ側を担う業者の声が圧倒的に大きく、政府施策が常にそこに引っ張られるわけです。

結果、政府は本当はwithコロナ時代において一番論議が必要な近距離&小グループでの観光推進などというテーマには一切手を付けられず、結局、コロナ禍前に存在していた既存のビジネスモデルをそのまま公的資金で補助しますという戦略なきGoToトラベルと、その既存観光の上に「増築的に」新しい需要を発生させましょうという発想で出て来るワーケーション推進しかなかった


昨年夏に開始したGoToトラベルは、本来ならば今回始まった「地域観光事業支援」のように各地域単位で近距離圏&小グループ観光の振興を対象とするものでなければいけなかった。しかし観光庁は当時、各観光地で営業を営む各観光業者よりも、そこに向かって旅客を移送することを生業とする長距離交通業者や旅行代理店の声を重視するあまり、結局「大都市圏域から地方に向かって旅客を流す」という旧来型のビジネスモデルを前提としながらGoToトラベルを実施することしかできなかった。しかし、その結果は皆さんがご存知の通りで、大都市圏域で感染症が再拡大したことで、そこからの送客に頼っていた全国の観光地が一斉に「共倒れする」という、観光業界にとっては地獄のような3ヶ月に亘る「冬の時代」であったわけです。

これだけはハッキリ申し上げておかなければならないのは、一般によく言われている大都市圏での感染再拡大の主たる原因がGoToトラベルにあったかどうかに関しては未だその論証が必要ですが、一方でそこに巻き込まれる形で「感染拡大してない」全国観光地までもが経済的に一斉に沈んでしまった原因は、観光庁が「GoToトラベル」施策の舵取りを間違えたから。この点だけは観光業界関係者のみならず、全国民が共通認識として持っておかなければならないことであると思います。

とうことで1年遅れではありますが、やっと正しい形で施策がスタートした「ミニGoToトラベル」こと地域観光事業支援。感染拡大の少ない地域において徐々にその具体的内容が発表されてゆくことと思います。対象となる地域にお住まいの皆様におかれましては、ぜひ地域観光を支えるべく感染症対策に気をつけながらレジャーを満喫して頂ければ幸いです。

さて昨日、(一応)現状の我が国では最大野党ということになっている立憲民主党が中長期視点にたった基本政策を発表。以下、エコノミックニュースからの転載。


原発、安保、カジノ等で立憲らしさ滲む基本政策

政権を目指す立憲民主党が30日、中長期的視野に立った「基本政策」を発表した。
原発新増設は認めず、地元合意ない再稼働も認めない。共謀罪は廃止、安保法制の違憲部分は廃止措置を講じる。カジノ事業は廃止、内閣人事局の改革、選択的夫婦別姓制度の導入、知る権利の強化など自民党と違う立憲民主党らしい『選択肢』を示した。


やっぱりそうなるんでしょうねえ、という感想しかないのですが、「カジノ事業廃止」を基本政策に盛り込んでまいりました。実際、立憲民主党の公式サイトにも以下のように基本政策の記述が成されています。



立憲民主党基本政策
https://cdp-japan.jp/about/basic-policies
ギャンブル依存症患者の増加や治安や風紀の乱れ等を招来するカジノ事業は廃止します。



まあギャンブル依存や治安・風紀の乱れを語るワリには、カジノ以外に存在している既存のギャンブル等産業に関しては一切触れないあたりが、全日本自治団体労働組合公営競技評議会(※公営競技場労働者による労組)を支持母体にガッツリと抱える立憲民主党らしいっちゃあ、らしいですが、いずれにせよカジノ廃止は同党の基本政策として深く打ち込まれる事となったようです。

カジノ事業の存続に関しては、我々カジノ業界においては「10条問題」と呼ばれる非常に大きな問題が知られています。10条問題とは、IR整備法第10条が定める国によるIR区域認定の期間とその更新にまつわる問題で、IR整備法は以下のようにそれを定めています。


(認定の有効期間等)
第十条 区域整備計画の認定の有効期間は、前条第十一項の認定の日から起算して十年とする。
2 区域整備計画の認定を受けた都道府県等(以下「認定都道府県等」という。)は、区域整備計画の認定を受けた設置運営事業者等(以下「認定設置運営事業者等」という。)と共同して、区域整備計画の認定の更新を受けることができる。
3 前項の更新を受けようとする認定都道府県等は、認定設置運営事業者等と共同して、区域整備計画の認定の有効期間の満了の日の六月前から三月前までの期間内に、国土交通大臣に申請をしなければならない。ただし、災害その他やむを得ない事由により当該期間内に当該申請をすることができないときは、国土交通大臣が当該事由を勘案して定める期間内に申請をしなければならない。
4 前条第五項から第九項まで及び第十一項から第十四項までの規定は、第二項の更新について準用する。
5 第三項の申請があった場合において、区域整備計画の認定の有効期間の満了の日までに当該申請に対する処分がされないときは、従前の区域整備計画の認定は、その有効期間の満了後も当該処分がされるまでの間は、なお効力を有する。
6 第二項の更新がされたときは、区域整備計画の認定の有効期間は、従前の区域整備計画の認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して五年とする。

要は、国から都道府県等に与えられるIR区域整備の認定は「当初10年、その後5年ごとに更新が為される」とう規定であり、またその更新にあたっては都道府県議会の決議が改めて必要となるという規定であります。

この「10年-5年-5年…」という更新期間に関しては、その開発に多額の至近投入が必要となる大型開発を求めている我が国のIR導入方針にあって、その投資回収に要する期間を民間に対して制度が担保していないという点において、明らかな制度的瑕疵であると業界内で言われており、当ブログ上でも法案としてその内容が発表された時点からあらゆるタイミングでそこに言及をしてきました。

【参考】IR整備法10条問題:カジノ設置許可はたった10年

そして、今回立憲民主党が発表した基本政策の中に「カジノ廃止」が明確に盛り込まれたことで、この10条問題は改めてこの10条問題が顕在化したとも言える状況。党の中核的な政策方針を示す基本政策の中にこれが盛り込まれたということは、今後、立憲民主党の政策の中にはこの条項が生き残り続ける可能性が高く、立憲民主党がカジノ立地地域の首長を取る、もしくは議会の過半を取るなどと言うことがあれば、たちまちその地域におけるカジノ事業は廃止のリスクを負うこととなりますし、またかつての2009年の民主党による政権交代のように国政の主導権を彼らが握ることとなれば、IR整備法の存続そのものがリスクに晒されることとなる。我々にとっては由々しき事態であります。

この10条問題に関しては、そもそもIR整備法を起案したIR推進本部が法案そのものをパブリックコメントにかけないまま議会への提出を図ったことが問題の発端であり(我々業界専門家も閣議決定が為されるまでその内容を知らされていなかった)、また事後的に話を聞く限りでは「まさかこの規定が業界にとってそんな致命的なものになると思ってなかった」などとトボケたことを役所側は内々で言っているなどととも聞き及んでいるところですが、いずれにせよ法の起案を担当した役人(当時)の無用な功名心を発端とした大チョンボが、永遠に我が国での産業成立の「弁慶の泣き所」として残ってゆくのだな、と。

何ともひどい話だなと思いながら、今回の立憲民主党による基本政策の発表を眺めていた次第であります。

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