カジノ合法化に関する100の質問

日本で数少ないカジノ専門家、木曽崇によるオピニオンブログ

以下朝日新聞より転載。

109、百軒店…道玄坂エリアを「街並み再生」 東京都が整備方針


東京都は7日、渋谷区の道玄坂2丁目エリアを「街並み再生地区」に指定した。渋谷駅前で続く再開発の一環で、新たな歩行空間や文化施設・宿泊施設などの誘致を掲げる。

都都市整備局によると、指定されたのは、道玄坂と文化村通りの一帯の約8・5ヘクタール。スクランブル交差点やハチ公広場に面し、地区内にはファッションビル「109」など渋谷を代表する施設がある。飲食店やホテルが集まる「百軒店(ひゃっけんだな)エリア」もあり、にぎわいの拠点となっているが、建物の老朽化が課題となっている。

渋谷の109裏のエリアを東京都が「しゃれた街並みづくりの推進」の一環として再開発を進めるという報道です。

渋谷の109裏の一連のエリアは、渋谷内でも雑居ビルが沢山建ち並んでいるエリアの一つ。私が大学生の時代、あの辺を拠点にウロウロしていた時代には「いわゆる風俗街」そのものでありましたが、最近では個性豊かなカフェや居酒屋も集まり、「ラブホテルの横で若い女性が酒を呑む」というなかなか面白い発展をしていました。まあ、行政はむしろ「それ」が気に入らないから「おしゃれな街並みづくり」に描き変えるんだということでしょうが。

この種の雑居ビル群の再開発において、行政は大体「建物の老朽化が問題」などという錦の御旗を掲げるがちなわけですが、建築基準法や消防法に基づいて敷設された建築物がその地域に存在していることに何ら問題はないわけで、もしその基準を満たしていないというのならばそれぞれの建物に対して個別に必要な措置を行えば良いだけ。実態は「老朽化」が問題なわけではなく、その地域の風土そのものが行政観点で「気に喰わん」ということだけであります。

ただ「夜の街づくり」を専門としている私の観点からすれば、渋谷の百軒店に限らず、街の賑わい、特に夜の街の賑わいというのは一回、エリア的な再開発をかけてしまったらそのまま消滅してしまうことが殆どであるということ。そこを理解せず、再開発をかけるも客足が戻って来ず失敗に終わる再開発は全国津々浦々に沢山存在します。

そもそも、雑居ビル群エリアに個性豊かな個店が様々集まるというのは、減価償却が終わった古いビルであるからこそ(相対的に)、安い家賃で挑戦的かつ実験的ななコンセプトを持った商業が展開できるが故。そこに再開発をかけてしまえば、同じエリアにその様な商業が「帰って来れる余地」はそもそもないわけで、結局、再開発エリアに集まってくる商業者は新築ビルの高い家賃に耐えうる大きな予算を持ち、確立したビジネスモデルを持っている大規模商業者のみとなる。結果的に、どこの街にでもある様なチェーン店中心の街並みになるしかないわけです。

「坪単価●万円で再開発し、▽年償還をするとするとー」と要件を定めて計算をすれば、再開発後のエリアの家賃相場はそう難しくもなく算出できますから、既存の様々な業態と比較しながらその家賃に耐えうる商業というのがどういうものなのかをシミュレーションしてみればよい。それが行政が、そして地域の市民たちが望む街並みだというのならば、やってみれば良いんじゃないでしょうかね?(棒)

その様な感想しかないニュースでありました。

先週あった以下報道に関してツラツラと書いてみたい。以下、産経新聞からの転載。 「社内検討が不十分」 読売連合広告社が大阪IRのPR業務辞退 https://sankei.com/article/20230512-I7GBQHYCBVK4RJLLDXJWAKI2LM/ 大阪府市が公募していた統合型リゾートに関するPR業務に関して、自ら入札に応じ、指定業者として選定された読売新聞系のPR会社が業務受託を辞退したとの報道。その理由として「ギャンブル依存症への懸念でIRへの賛否が分かれている現状を踏まえた結果、社内検討が不十分だった」とのコメントが報じられている。 本件に関わらず近年、読売グループは賭博に関連する事業に対して総じて批判的であり、2020年に改正され新たにバスケットボールを賭けの対象とすることになったスポーツ振興投票法にも水面下で反対。そもそも、バスケットボールのみならずプロ野球もその対象する方向で検討が為されていた同法の改正で最後の最後で野球が対象から外されたのも、同社グループ下にある読売巨人軍が最後の最後まで反対をし、セリーグがまとまらなかった為であったことは関係者内では広く知られている事実である。 但し、私自身は従前から公言している通り、賭博に対して社会全体が手放しに賛成し、反対論が存在しないことの方が「不自然な」社会であり、寧ろ反対派が存在することはこの社会がある意味で健全に廻っていることの証左であると考えている人間であり、そのこと自体に特に文句はない。 ただ、読売グループにおいては、その系列下にあるスポーツ新聞「スポーツ報知」において公営競技を大々的にコンテンツとして扱い、そのグループ名を冠したレース(いわゆる冠杯)を多数提供している企業として、グループ企業全体が賭博業界側の体制に組み込まれている存在です。「ギャンブル依存症への懸念」を理由としてグループ会社にIR関連事業から撤退させるのであれば、その他賭博に関連するすべての事業からも撤退をして頂きたいと思うところ。企業グループとしての姿勢の一貫性を、しっかりと担保して頂くことを強く期待しております。

世の中では「パチンコがー」「三店方式がー」なんて問題視する人が多いけど、今日は実はパチンコなんぞよりも麻雀業こそが、日本のタブーであるというお話をしよう。
設備を設けて客に麻雀をさせる営業には実は7つの種類がある;

1. 風営法上の営業許可(4号)はとっているが客に違法な賭けをさせていて、その「賭けの程度」の悪質性から摘発の対象となる営業
2. 風営法上の営業許可(4号)をとっており、客に違法な賭けをさせているのだけど、「不思議な力が働いており」摘発の対象とされない(されにくい)営業
3. 風営法上の営業許可(4号)をとって客に麻雀はさせているけど、賭けはさせていない適法営業
4. 風営法上の営業許可(4号)を取らずに「客に麻雀を教えている」というテイで営業をしているが、実態としては「麻雀をさせている」違法な営業(風営法違反)
5. 本当に「客に麻雀を教えている」だけであり、風営法の営業許可が不要な適法営業
6. ゲームセンター(風営5号)として営業許可をとり「通信対戦」の麻雀ゲーム筐体で遊ばせる営業
7. 無許可で賭けを行わせている最も悪質な営業

このうち適法なのは3、5、6であり、それ以外はそれぞれ何らかの問題を抱えているが、実は6のゲームセンターとして営業されているものは、通信対戦の他に店内対戦モード(オフラインモード)も持っており、だとすると4号営業の麻雀店と性質的に何が違うの?という、もっと深い論議も。
麻雀業というのは「違法⇔適法」は元より、違法の中でも確実に摘発されるものから、不思議な力で守られているものまで、まだら状に存在している業界で、ここに手を入れることこそ風俗営業業界にとっては最大のタブーであるというお話です。

ということで、IR整備区域の認定が進み始めました。以下、読売新聞からの転載。

「長崎IR」認定見送りへ…大阪の整備計画は認定、29年秋~冬頃の開業目指す
政府は、カジノを含む統合型リゾート(IR)について、大阪府・市が誘致を目指す人工島・ 夢洲ゆめしま への整備計画を認定する方針を固めた。近くIR推進本部(本部長・岸田首相)の会合を開き、関係閣僚らの意見を聞いたうえで国土交通相が正式決定する。一方、長崎県からの申請について、今回は認定を見送る方向となった。

先週末の統一地方選の前半にて、大阪では大阪府市の両首長と両議会の過半を日本維新の会が占めることとなり、大阪のカジノ反対派が惨敗。大阪IRは「政治的には」決着をみることになりました。

私としては流石にもう少し体裁を整えるのでは?と思っていたのですが、何と大阪で選挙が終わった途端にIR整備区域の認定が露骨に動き出した、と。いやいや、まだ統一地方選は後半戦が残っていますけども(笑)

このことから逆に考えてみると、昨年4月末に申し込みが締め切られ、その後1年にもわたってその判断が遅延してきたIR整備区域の認定は、下馬評で言われてきた土壌問題が云々の技術上の話ではなく、まさに「政治的な都合」でずっと遅延してきたということ。その判断を真面目に正座して待ち続けて来た我々業界関係者としては「オマエラ最低だな」の一言しかコメントが御座いません。

そして何よりも可哀そうなのが長崎IR計画の扱い。大阪IR計画と比較して、資金調達側の不透明さが当初してきされてきた長崎IR計画ですが、今年9月の時点でスイスの金融大手クレディ・スイスが主たる融資先として立候補したことで、その不透明さも一定程度の解消がなされてきました。以下、当時の長崎新聞の報道。

長崎IRの資金調達 スイス金融大手が融資へ

ところがその後、まさに上で挙げた大阪でのIRを巡る政治的都合により、国からの区域認定判断は延々と出ず、その後、半年も経過してしまったワケです。ところが、その「塩漬け」期間中に主たる融資先として名乗りを上げていたクレディ・スイスが財政不安により、同じくスイス銀行大手であるUBSに買収されると報じられ…

クレディ・スイス買収 知事 “IR誘致への影響注視”
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20230320/5030017501.html

結果的に、長崎IR計画は未だ計画の再検証が必要ということで、今回のIR区域指定からは外されることとなりました。長崎側からしてみると、政治的な都合で散々待たされた挙句、その間に起こった環境変化によって認定の先延ばしを食らうという踏んだり蹴ったりの状況でありまして、返す返すヒデエ話だなと思う次第であります。

この他、実は今回の国のIR認定の始動に関しては、その判断が遅れに遅れたことによる新たな懸念事項等が存在するわけですが、諸々の関連事項に関する専門解説を以下の動画に纏めてみました。ご興味のある方はぜひご覧ください。


昨日の投開票となった統一地方選の前半戦、大阪では大阪府市の両首長、および両議会の改選が行われ、現与党勢力の日本維新の会が両首長はおろか、両議会でも単独過半数を獲得し、クアトロ勝利を達成した。以下、TBSからの転載。

大阪府議会・市議会で維新が単独過半数を獲得 市議会での獲得は初 W選は維新が2勝(TBS)

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/424741

大阪における今回の統一地方選の前半戦、野党サイドは「夢洲IR構想の再考」を旗印に掲げ支持の拡大を狙った。しかし事前にマスコミが実施したアンケート調査では大阪IR構想への市民の賛成が、反対派を上回るなどとも報じられ、選挙の序盤から厳しい滑り出しとなった。苦し紛れともいうべきか、しまいには野党第一党となる自民党側の候補者からは「カジノの代わりにディスニーを!」などとする選挙ポスターまで飛び出し、後に「ディズニー誘致は公約ではない」として本部側からの火消しが行われるドタバタ劇も見られた。以下、日経新聞および産経新聞の関連する報道。

大阪IR「賛成」、反対を上回る 本社調査(日経新聞)

https://nikkei.com/article/DGXZQOUF021OL0S3A400C2000000/

IR候補地・夢洲に「ディズニーを!」自民ポスターが物議、大阪(産経新聞)

https://news.yahoo.co.jp/articles/af03c9a657ddbf8129dbc4cb1f25c302701888db

なにはともあれ、夢洲IR構想を公約として掲げた日本維新の会が大阪府市の両首長、および両議会選において完全勝利を達成したことにより、大阪のIR構想は「政治的には」推進という形で決着が付いたということになる。国は統一地方選への影響を考慮して、既にその募集を1年を経過しようとしているIR整備区域の認定を未だに発表していないが、今月後半に予定されている統一地方選の後半戦が終わった後には程なくその結果が発表されるのではないかと思う。以下、共同通信による関連記事。

IR認定判断、統一選後に先送り 大阪で争点化、長崎も懸念(共同通信)

https://news.yahoo.co.jp/articles/ad5d9c84f43eda9b5bac1eefcc23ca445f4451a5

但し、国から区域認定の判断が出たとしても、実はプロジェクトに最終的なGOサインを出すのはあくまで民間企業であることを忘れてはならない。実は昨年4月に大阪府市とIR開発事業者が結んだ基本協定には、以下の様な内容が取り決められている。

基本協定の解除
SPC の解除権
・判断基準日:認定後 30 日を経過した日
・通知期限:判断基準日から 60 日以内
SPC は、条件成就のために大阪府・大阪市と緊密に協力・連携し、合理的に可能な範囲で努力した上で、誠実かつ合理的な裁量により条件の成就・不成就を判断
(出所:大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備等基本協定)

実は大阪府市と開発事業者側が結んだ基本協定には、国からのIR整備区域の認定から30日まで民間事業者側にこの基本協定を解除する権能を定めている。その解除条件には、①IRにまつわる各種税制上の取り決めは元より、カジノ管理委員会が我が国のIRの国際競争力、および国際標準の確保の為に適切な規制をしいているか。②開発地となる夢洲の土地・土壌に関して大阪市が適切な措置を実施しているか、③そして国内外の観光需要がコロナ禍から真に回復したと言える見込みがあるかなど、複数の要件が定められているのだ。これらの項目で適切なIR開発環境の整備が行われていないと判断される場合には、国がIR整備区域を認定した後にも大阪IRは「撤回」もあり得ることは、これまであまり語られることのなかった大阪にとっての「不都合な真実」である。

現在の大阪IR整備計画は、コロナ禍前にその骨子が作られ、コロナ禍を経た後にもその主たる部分の修正が行われぬまま国へ提出されたもの。また、その提出後も国はおよそ1年に亘って、その判断を塩漬けし、結論を先延ばしにしてきたものである。その間に、アメリカではニューヨーク・マンハッタンエリアのど真ん中で新規のIR開発計画が進み、マカオではこれから10年間で凡そ2兆円のIR投資が発表された。このように激変するIRへの国際的な投資環境の中で、我が国のIR計画は既に業界内では殆どテーマとして語られない、時代遅れの存在として見なされてきた。

果たして、我が国で無事IRは誕生するのか。その判断を座して見守ってゆきたい。

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